名ばかりの透明性… 橋本聖子新会長選考に残った疑問…本当に議論は尽くされたのか?
また橋本氏は自民党の森派から派生した細田派所属でありながら離党も議員辞職も行わなかった、その政治的な立場について議論になったかどうかも明らかにされず、橋本氏も、就任会見で政治家としてのポジションを維持した件について、こう説明した。 「スポーツという政策的な部分においては超党派で議論を重ねて協力し合い成功に向けて努力してきた経緯がある。疑念を持たれないような行動をとっていく。国に左右されるということなく、組織委の会長と言う立場で何をやっていかなければならないのかは私なりに理解しているつもり」 さらなる懸念も残った。橋本氏は、政治家転身の道筋をつけてくれた「父」「師」と尊敬する森氏の東京五輪だけでなくラグビー、サッカーのワールドカップ招致などの経験や功績に触れ「アドバイスをいただかなければいけない局面がある」と語ったのである。 「正していくべきもの(女性蔑視発言)と継承するものと色々あると思うが、その部分はしっかりと区別してやっていきたい」と、女性蔑視発言を決して看過しない姿勢も明らかにしたが、後任候補として最有力だった川淵氏が、辞退に追い込まれることになった理由のひとつに「森氏を相談役に」と語った発言があった。ここまでの準備のほとんどを手がけ、政界だけでなく、国際社会や財界にも幅広い人脈とパワーを持つ森氏の協力が今後も必要になることを見越しての発言だったが、これが「森院政」「密室人事」の象徴として問題視された。 今回は正式手続きを経て決定した後の発言ではあるが、中身は同じである。これがスルーされるのであれば、川淵氏が潰された背景には何か違った理由があったとしか考えられない。御手洗氏は、「女性だからという要素は考えなかった。人物本位」と説明していたが、菅総理が望ましいとした「女性と若い人」に橋本氏が当てはまったのは単なる偶然なのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)