望まない妊娠③》日頃から若者の性の悩み聞く場が必要
■"妊娠出産をしなくなったら国は滅びる"危機感
スウェーデンのユースクリニックでは、“性やからだやこころについて”の相談をはじめ、低用量ピルやアフターピルなどを無料で提供したり、性感染症などが心配であれば無料で検査を受けられたりする。スウェーデンでの設置数を東京都の23区で換算すると、235か所、各区に10か所ほどになるという。土屋さんは、日本でも、少しずつユースクリニックの取り組みが始まっているものの、まだまだ数は限られていると指摘した。 若い世代の人たちが自分の身体と向き合っていくためには、学校教育の中での性教育を進めていくことや、普段から性や体について話し、相談できる「保健室」のような場所を子どもたちの身近につくることが必要だと話す。 現在、自治体によっては、高校3年生まで医療費は無料になっているところはあるが、自費診療である緊急避妊薬や妊娠の診断や性感染症検査などは、無料とはならない。「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」(すべての人が、適切な医療サービスを必要なときに、支払い可能な費用で受けられる状態)ということを考えた時、若い世代のヘルスケアについては、まだ制度が整っていないように感じると土屋さんは指摘する。そして「女性が妊娠出産を選択しなくなったら国は滅んでしまう」と話し、経済的に厳しい若者世代が、無料で予防の時点から産婦人科を受診できる仕組みをつくることも重要ではないかと提言した。 すべての妊婦が安心して生活できる社会の実現は、男女問わず誰もが考えるべき課題だ。