望まない妊娠③》日頃から若者の性の悩み聞く場が必要
■生理周期のアプリに振り回される人も
生理が来る間隔は、10代ではまだ体が成熟しきっていないため、ホルモンバランスが崩れて不安定になりやすく、ダイエットや睡眠不足、環境の変化や、ストレスなどの影響も受けることがある。そうしたことを知らずに、それまでは、あまり生理周期を意識したことがなかった人が、性行為をするようになって生理管理アプリを利用し始め、「アプリ通りに生理がこないから妊娠したのでは」などと過度な心配をする人もいるという。生理日や排卵日の予測をどのように出しているのかわからないため、アプリに振り回されている状態でもあると土屋さんは話す。 「相談窓口」でできることは、こうした若者が置かれている状況を理解し、個人に寄り添った支援をすること、そして相談者が必要としている情報を伝えて、一緒に考え、不安を軽くするような提案をするとともに、一人で抱えることがないよう、いつでも相談してきてほしいと伝えることだとしている。
■若い人たちが性について相談できる場が必要
ピッコラーレは、性に関する相談や話ができる場所が必要だとして、寄付や助成金をもとに、若者たちの居場所で「ピコの保健室」を定期的に開設し、助産師などが対応している。 やってきた学生などからは、「コンドームという名前は知っているけど実物を見たことも触ったこともなかった」「どこに売っているのかいくら位なのかも知らない」「ピルは避妊のために飲むことは知っていたけど、生理痛が楽になるとは知らなかった」「低用量ピルで生理の周期を調整することができるなんてもっと早く知りたかった」といった声があがるという。一方、こどもたちの周りにいる大人からは「性の相談をされても自分たちもなかなか話をすることが難しかったが、『ピコの保健室』をきっかけに、こどもだけでなく、大人も一緒に考え、性について話すことが徐々に自然でオープンなものになり、職員も少しずつ意識が変わってきた」という声も聞かれるようになったという。 土屋さんは、児童館などこどもや若者の居場所に、助産師が入ることはこれまでなかったと思うが、学校以外の場所にも、子どもたちからの様々な相談を自然な形で受けられる場所が求められていると話す。