年金だけで生活する高齢者世帯は約4割。65歳以上「退職済み」夫婦世帯の貯蓄額や生活費はいくら?
投資信託や株が不向きな人
今の現役世代は貯蓄や投資に積極的な印象があります。しかし、そこで大切になってくるのは運用の目的です。 漠然と将来・老後のため、といったテーマで資産運用を行なってしまっては10年後、20年後に後悔する可能性があります。 冒頭部分にお話しした2人のお客様でも、資産運用の目的が異なってきます。 まず、老後節約して切り崩して何があっても貯蓄を減らしたくない、このようなテーマで運用したい現役世代の方には、投資信託や株は不向きかもしれません。 なぜなら元本割れのリスクが高く、65歳で退職するタイミングで急激な下落局面にぶち当たってしまった場合、取り返しがつかなくなってしまうからです。 このようにご自身のリスク許容度が低い方には、ローリスクの運用を活用される方が多いです。 例えば国債や社債と呼ばれるものは固定金利であり、半年に一回、定められた金利分の利息が手元に入ってくるため、それを貯蓄するという方法があります。 リスクとしては発行体が潰れてしまった場合、元本が戻ってこない可能性がありますが、そこは信用に足る会社や国に投資することが大切になってきます。 続いて、宵越しの銭は持たない、老後は今ある資産をしっかり使い切りたい、このような目的を掲げる方には、株や投資信託の配当金をもらっていく方法が合っているかもしれません。 株や投資信託の配当金も、発行体が潰れるまでは手元にお金が毎月入ってくるため、入ってきたお金を使い続けることを意識するという使い方ができます。 しかし、生活費として十分な年金収入があることが前提となるので、リスク許容度は世帯によって大きく異なるでしょう。
まとめにかえて
今回は老後の貯蓄額や、収支について一緒に確認していきました。 人によって必要なお金や収支が変わってくるように、今から資産運用を始める方もしっかりと運用の目的を定める必要があります。 現役世代は早めに老後に備えて運用を行うことが大切ですが、しっかりとビジョンを持って資産運用を行っていきましょう。 未来の自分を助けてくれるのは、自分自身になってくるはずです。
参考資料
・総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」 ・総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2023年(令和5年)平均結果の概要 (二人以上の世帯)」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」 ・パーソルキャリア株式会社「Job総研『2024年 定年に関する意識調査』を実施 セカンドライフに経済不安8割 “一生はたらく”覚悟と悲鳴」
杉田 有毅