「先祖のたたりがある」と脅して数百万の壺を買わせ…“霊感商法”を信じてしまう人の心の中では何が起きているのか
それはあたりまえ、アドバイスはなんの根拠もないインチキなのですから。しかし、あの人はすごい霊能者だ、という強いプロジェクションをしている対象者は、アドバイスがインチキであるとは考えません。治らないのは、なにかほかの原因があるのではないか、あの人ならそれも教えてくれるかもしれない、と考えます。 そうして再び霊能者や占い師と会うことになったら、いよいよ首謀者たちは本気で対象者をからめとる作業に入ります(先ほどの簡単なアドバイスのプロセスを省略して、初回からこの段階に進むことも多いです)。 不安を抱えたままの対象者に対して、霊能者や占い師は「たしかに原因はほかにある。なんと先祖の悪行が支障をきたしている」「このままではもっとひどいことが起こる」「家族もろとも不幸になる」などと告げます。自分がすごいと信じている霊能者や占い師から、突然そんなことを断言されたらどうでしょうか? おそらくとても動揺してしまうはずです。 もともと精神的に不安定な状態だったところへ、このようなことを「指摘」されたら、言い知れない不安でいてもたってもいられないくらいでしょう。いったい私はどうしたらいいのだろうと、途方に暮れてしまうはずです。そこへすかさず、首謀者たちの真の働きかけがなされます。「大丈夫、あなたが救われる方法がひとつだけある」と。そうやって提示される方法が、法外な値段で壺や数珠などを購入することなのです。 なぜ自分の不幸がこの壺を買うことで解消されるのか、そこに合理的な説明はまったくありません。けれど、そんなことは問題ではないのです。すごいと信じている人が目の前にある壺について「これには特別な力を授けておいた」と言えば、なんの変哲もない壺に対して、自分の不幸を解消してくれる特別な壺である、というプロジェクションがなされます。そうなると、その壺は自分にとって特別なものですから、高額の支払いをするだけの「価値」を見いだすことになります。 「ここは以前、殺人があった部屋でして」聞いたら知る前の気持ちには戻れない…事故物件に「住みたくない」と思ってしまうワケ へ続く
久保(川合) 南海子/Webオリジナル(外部転載)
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