「先祖のたたりがある」と脅して数百万の壺を買わせ…“霊感商法”を信じてしまう人の心の中では何が起きているのか
旧統一教会の霊感商法による被害については、私もニュースなどで子どもの頃から知ってはいました。けれど、壺などに何百万という大金を支払ってしまったという被害者のニュースを見て、子どもなりにまず疑問として浮かぶのは、どうしてなんでもない壺に、自ら進んで大金を出してしまうのだろう? ということでした。ニュースの画面を通じて見る壺はごくありきたりなものでしたし、宗教的な意味があるのだろうという先入観も手伝って、なんだかすごく奇妙な行動だなあ、という認識で理解が止まっていたように思います。 大人になると、これは不当に大金を奪いとる悪質な詐欺行為であることがわかります。けれど、常識的に考えれば大金を支払う価値などありそうもない壺に、自分から大金を支払ってしまうという奇妙な行動への違和感は解消されませんでした。 ところが、安倍元首相の銃撃事件以降、旧統一教会の霊感商法に関する報道が連日のようになされていた時、これこそがプロジェクションだと得心しました。私が子どもの頃からずっと奇妙に感じていた被害者側の行動は、プロジェクションの異投射によって引き起こされているのだということがわかったのです。
霊感商法の手口とプロジェクション
そもそも霊感商法とは、どのようなプロセスでなされるのでしょうか。霊感商法の首謀者が狙うのは、なにか解決しがたい悩みや不安、トラブルを抱えて苦しんでいる人です。そのような状態がある程度の期間続いていたとしたら、人は精神的に不安定になってしまいます。 大きな悩みや不安がなく、精神的に健康な状態であれば、霊能者や占い師などを訪ねてみようという気持ちにすらならないかもしれません。しかし、そうではない時、なかには、自然を超えたなにかにすがりたくなる人もいるでしょう。霊感商法の首謀者たちは、そうして近づいてきた対象者の精神的な不安定さを巧妙に利用するのです。 ある程度の規模で組織的な霊感商法を実施するグループのばあい、首謀者と協力者が複数人でチームを組んで対象者を取りこんでいくやり方が多く見られます。まずは、協力者が対象者と知り合いになり、徐々に交友を深めていきます。親しくなると、何気ない会話のなかで、困りごとや悩みについて水を向けられたら、対象者は協力者につい話してしまうこともあるでしょう。
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