男子日本代表監督に内定し、記者会見したロラン・ティリ氏（中央）。右は日本協会の川合俊一会長、左は南部正司男子強化部長（提供：日本バレーボール協会）

バレーボール男子日本代表の監督に内定したロラン・ティリ氏（61）が2日、オンラインで記者会見。2028年ロサンゼルス五輪での表彰台を目標に掲げた。2021年東京五輪では男子のフランス代表を率いて母国に初の金メダルをもたらした名将。指導者として五輪金を経験した監督が就任するのは日本男子史上初で、五輪までのすべての国際大会でも表彰台を狙う考えを示した。 世界的な名将が新たな挑戦に胸を躍らせた。日本のバレーを新たなステージに導くべく、ティリ氏が熱っぽく語った。 「すでに成績を残し、高い技術力を持った日本代表に、私の経験を掛け合わせることでロサンゼルス五輪へ飛躍できる。表彰台を目指す」 今の日本に足りないのは「経験」という。ティリ氏はパリ五輪の日本戦全てを現地観戦。準々決勝でマッチポイントをつかみながらイタリアに逆転負けを喫したが「ロスへ向け欠かすことのできない貴重な経験だった」と前向きにとらえる。 自身がフランス代表を率いた2016年リオデジャネイロ五輪は1次リーグ敗退。「選手の体が動かず、大事な試合を落とした」が、その経験が東京五輪の金メダルにつながったと振り返る。同様の道を日本でも歩むイメージを膨らませる。 今後の国際大会は「すべて表彰台を取る気持ちで臨む」と断言する。世界の強豪と渡り合い、厳しいプレッシャーを経験することで、ロス五輪の表彰台が見えてくる。 現在はSVリーグ・大阪Bの監督で、正式な就任は来春。大阪Bで指導する西田有志（24）らが当面の代表活動休止を表明している件には理解を示しつつ、「選手やスタッフと会話を続けたい」と、日本式にコンセンサスを得て進めていく考えを示した。（只木信昭） ◆日本協会の川合俊一会長　「世界最高の監督が日本のチームで監督をやり、日本選手の気質に慣れている。奇跡のよう。万歳です」 ■ロラン・ティリ（Laurent　Tillie） 1963年12月1日生まれ、61歳。アルジェリア生まれ、フランス国籍。88年ソウル、92年バルセロナ五輪に出場。2001年に引退し、フランスリーグ監督を経て12年に同国代表監督に就任。21年東京五輪で優勝に導く。20年、フランス代表と並行してパナソニック（現大阪B）の監督に就任。193センチ、83キロ。次男のケバンはバレーで東京、パリ五輪金メダル。長男キム、三男キリアンはバスケットボール選手で、NBAでもプレーしたキリアンはゴンザガ大で八村塁の同期。