米国株売却か名称変更か、欧州ファンドに圧力-ESGラベル新規則で
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)が、運用会社に対してESG(環境・社会・企業統治)ラベルをファンドに自由に付けることを制限する新たな規則を発表した。米国株式市場は、これによるダイベストメント(投資撤退)の影響を最も受ける市場になるとの見方が出ている。
欧州証券市場監督機構(ESMA)は先月、ESGラベルや同等の用語が名称に付いたファンドについて、運用資産の少なくとも80%を実際にESG目標に関連する資産に投じる必要があると発表した。こうしたファンドは、最大手の石油・ガス生産者などの特定の資産に投資することもできない。
モーニングスターの分析によれば、米国株の投資判断を「オーバーウエート」としているファンドマネジャーにとって、この要件は非常に大きな意味を持つことになりそうだ。
同社は「株式の時価という観点で、米国が最大の影響を受ける可能性がある」とリポートで言及している。
ESMAの新たな規則で引き起こされ得る株式関連のダイベストメントのうち、時価総額で見て約42%は米国に影響するものだと同社は見込む。2番目がフランスで17%、さらに中国が12%で続くとしている。
一方で、わざわざポートフォリオを設計し直す必要はないとファンドマネジャーが判断し、代わりに商品名を変更するという選択肢もある。
モーニングスター・サステナリティクスのESG政策調査ディレクター、アーサー・カラビア氏はリンクトインへの投稿で、「『ESG』や関連する用語を、多くのファンドが名称から外す」との見通しを示した。その上で、ファンドによっては、EUの新たなルールの下、「トランジション(移行)」といった最低要件に関して負担の小さい用語を選ぶだろうと述べた。
最大400億ドルの売却が必要
モーニングスターは、ESGまたはサステナビリティー関連の用語を名称に含むEUのファンドのうち、ESMAの新たなガイドラインの影響を受ける可能性がある商品を約4300本特定した。