信号機のない横断歩道、なぜ車は止まらないのか? 47%のドライバーが無視! 「歩行者優先」のルールは絵に描いた餅か?
「信号機のない横断歩道」は、もっと安全に渡れるように改善できないだろうか。 横断歩道においては、道路交通法第38条に基づき、「歩行者優先」が明確に定められている。車両は、歩行者や自転車が横断している場合、横断歩道の手前で一時停止しなければならない。 【画像】「なんとぉぉ!」これが34年前の「海老名サービスエリア」です! 画像で見る(17枚) このルールに違反した場合、2点の違反点数が加算され、普通車の場合は9000円の反則金が科される。さらに悪質な場合には、懲役3か月以下、または5万円以下の罰金が科せられる。それにも関わらず、多くの車両が平然と横断歩道を通過しているのが現状だ。 日本自動車連盟(JAF)が毎年実施している「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」の最新データ(2024年11月発表)によると、全国平均で 「53.0%」 の車両が横断歩道で停止し、歩行者に道を譲っているという結果が得られた。この数字は2018年の8.6%から着実に改善してきたものの、依然として約半数の車両が停止しない計算となる。 この状況は、歩行者や自転車にとって大きなフラストレーションとなっている。しかし、それだけではない。横断歩道で本来止まるべき車両が歩行者と衝突する事故も発生している。
筆者の意見
2019年から2023年の間に、自動車と歩行者が横断歩道で衝突した交通死亡事故は、信号機の有無に関わらず全国で1086件発生している。信号機のない横断歩道で車が停止するようにするには、どのような対策が必要だろうか。 前述のJAFの調査結果によると、都道府県別では ・1位:長野県(87.0%) ・2位:石川県(80.9%) ・3位:岐阜県(75.2%) となっている。これらの県は地理的に近接しているが、その周囲にある富山県は31.6%で最下位となっており、地域別の傾向を把握するのは難しい。また、調査対象は各都道府県2か所ずつの横断歩道であるため、場所によって結果に差が出ることもある。 筆者(古宮宗、フリーライター)が住む神奈川県の平均は58.4%だが、日常的に使用する横断歩道では、何台もの車を見送ることが多い。さらに、日によっては車がすぐに止まることもあり、地域差よりもドライバー 「ひとりひとりの意識」 の問題が大きいと感じている。 もうひとつの課題は、歩行者側の対応に限界があることだ。2021年から「横断するときは、手を上げるなどして運転者に対して横断する意思を明確に伝える」という方針が導入されたが、手を上げても車が止まらない場合が多い。車の方にまっすぐ向いても止まらない車は依然として止まらないのだ。