信号機のない横断歩道、なぜ車は止まらないのか? 47%のドライバーが無視! 「歩行者優先」のルールは絵に描いた餅か?
取り締まり強化で停止率上昇
もうひとつ大きな効果が見込まれるのが、取り締まりである。 JAFのデータによると、2023年の三重県の停止率は51.3%だったが、2024年には64.3%に上昇し、14位にランクアップした。 2023年11月には、三重県知事が乗った公用車が歩行者のいる横断歩道で一時停止をせず、県警から青切符を交付された。この出来事は2024年5月に地元紙で大きく報じられ、県民に危機感を与えた可能性がある。 さらに、富山県の例も注目される。2019年には停止率が5.3%で全国ワースト4位だったが、2023年には50.0%で全国20位に改善し、2024年には31.6%で再びワースト1位に戻った。富山県内の横断歩行者妨害に対する検挙数は、 ・2019年:1473件 ・2020年:3938件 ・2021年:5834件 ・2022年:4842件 ・2023年:2295件 と減少している。 県警は、2023年に停止率が向上した理由として「検挙数の増加が影響した」としており、取り締まり強化の効果があった。しかし、2023年に検挙数が半減したことで、元の状況に戻った可能性も考えられる。
メディアや取り組みの限界と課題
まず、ドライバーに横断歩道での歩行者優先の重要性を徹底的に周知することが重要だ。しかし、どのメディアを使用しても、そのメッセージが全てのドライバーに届くわけではない。 一方で、歩行者自身もドライバーに対してアピールすることが求められるが、これにも限界がある。 最も効果的な対策としては、警察による取り締まりが挙げられるが、人件費や税金がかかり、効果が一時的なものにとどまる可能性もある。 それでも、夜間でも目立つカラー塗装の横断歩道を導入するなどして、歩行者の安全を確保し、車が100%停止する状況を実現することが求められる。
古宮宗(フリーライター)