信号機のない横断歩道、なぜ車は止まらないのか? 47%のドライバーが無視! 「歩行者優先」のルールは絵に描いた餅か?
筆者への反対意見
しかし、地域の影響がある可能性もある。実際、長野県は9年連続で全国1位の結果を達成している。 長野県では子どものころからの交通安全教育が盛んであり、歩行者は手を上げて意思表示、停止した車へのアイコンタクトやお辞儀が奨励されている(『長野放送』2024年11月8日付け)。 また、歩行者の動作が車の停止にどれだけ影響を与えるかについて、NHKが調査を行った(2021年12月17日付)。その結果は次のとおりである。 1.何もしない:4% 2.手をあげる:42% 3.手をあげて目をあわせる:55% 4.手をあげて目をあわせ、一歩踏み出す姿勢で待つ:60% このデータから、歩行者の行動によって車が停止する確率が大きく変わることが明らかとなった。
信号機設置費用と課題
それでも、歩行者の努力だけで車を100%止めることは難しいといえるだろう。 信号機の設置は最も効果的な方法と考えられるが、交差点1か所あたりの設置費用は最大で約630万円に達する。新規導入に加えて、機器の更新にも多額の費用がかかるため、実現には課題がともなう(『朝日新聞デジタル』2023年3月8日付)。 費用面だけでなく、他にも問題がある。交通量が多い場所に信号機を設置すれば渋滞が発生しやすく、逆に交通量が少ない場所では、信号無視をする歩行者が増え、事故のリスクが高まることがある。 他の施策としては、横断歩道を目立たせて注意を促す方法がある。具体的には、横断歩道の白以外の部分を色で塗りつぶしたり、手前に帯状のペイントを施したりする手法だ。 この方法は2000年代後半、雪で横断歩道が見えにくくなる北海道などで導入され始めた。カラー化前の横断歩道での車と歩行者の接触事故件数は年平均16.3件だったが、着色後は同6.8件に減少したというデータがある(『読売新聞オンライン』2022年10月12日付)。 車の停止率が向上したというデータが全国各地で確認されており、コストもそれほど高くない。