戦力分析/下 守備・投手力 経験積み継投に厚み /東京
<第91回選抜高校野球> 新チーム発足時、投手陣は一人も公式戦のマウンドに立った経験がなかった。だが、夏場の練習試合を通じて徐々に経験値を積み、秋の東京大会は全試合を継投で乗り切った。 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 主に先発を任されたのは右腕・白須仁久投手(3年)。安定した投球で試合の流れをつくり、中盤から右腕・山崎晟弥(せいや)投手(3年)と左腕・石橋大心(たいしん)投手(3年)がマウンドを継いだ。 白須投手は130キロ台半ばの直球に、昨夏に習得したカットボールを効果的に織り交ぜる。秋の東京、明治神宮大会以降はセンバツ出場を視野に入れ、練習試合などで中継ぎやストッパーも経験した。永田昌弘監督は「どんな場面からでも投げられる自在性が身についてきた」と評価する。 軟投派の石橋投手に対して、山崎投手は140キロ近い速球が武器だ。1月に利き手の右手薬指を骨折し、さらに肘の痛みにも悩まされた。3月の沖縄遠征で登板し、ぎりぎりの調整を続けている。 一方、けがで投球を控えていた山田裕也選手(3年)が復帰。沖縄遠征では140キロ超の直球で、継投枠入りをアピールした。サイドスローの右腕・中西健登選手ら1年生投手も控える。 正捕手の沢野智哉選手(3年)はキャッチング技術の高さに加え、投手の好不調をはかりながら、柔軟に配球を組み立てる。 野手陣は成長段階。永田監督は外野守備を「偏差値30」と厳しく表現する。それでも、守備の乱れから試合の主導権を奪われるようなことはない。東京、明治神宮の両大会を通じた失策数は1試合あたり0・78で、センバツ出場32チームの中でも比較的少ない。 内野は、長身を生かして広くカバーする黒川麟太朗選手(3年)が要。外野の渡辺伸太郎(3年)、松室直樹(3年)の両選手も、俊足を生かして守備範囲が広い。 気がかりなのは、一塁を守る黒沢孟朗(たろう)選手(2年)が、1月の負傷から復帰して間もないこと。三塁を守る遠山樹人選手(3年)は3月の紅白戦で右手を骨折し、復帰が微妙な状況だ。百戦錬磨の永田監督は、コンバートを含めて選手の起用法を探っている。【川村咲平】 〔都内版〕