無料で使えるオープンソースの高精度動画生成AIが続々登場、Runwayなど既存プレイヤーも独自機能の追加で対抗
動画生成AI市場、高まる既存プレイヤーへの圧力
動画生成AI市場の競争が新たな段階に突入した。これまでRunwayやPika、Lumaなどプレイヤー数は限定的だったが、ここにきてオープンソースモデルの参入が相次いでおり競争が一層激化している。これを受け先行プレイヤーは、単なる動画生成にとどまらず、動画編集に関わる実用的な機能の搭載など、差別化を模索する動きを活発化している状況だ。 たとえばRunwayは2024年11月、最新モデル「Gen-3 Alpha Turbo」に高度なカメラコントロール機能を追加したことを発表した。この機能により、3次元空間内でのズームインやズームアウト、パン操作などが可能となり、実際の撮影現場のような臨場感のある映像生成を実現。さらに、カメラの移動方向や動きの強さを細かく設定するなどのカスタマイズにも対応している。 Runwayはまた、「Act-One」という新機能も投入。スマートフォンなどの一般的なカメラで撮影した人物の表情を、AI生成キャラクターに正確に転写できる機能だ。従来、このような表情の再現には、高価な機材や複雑な作業工程が必要だった。映画『アバター』などの映画では、俳優の顔にマーカーを貼り、頭部にカメラを装着するなどの手法が使われてきた。この新機能は、予算が限定される小規模プロジェクトチームなどでの活用が想定される。
一方、Pikaも独自の進化を遂げている。直近では、無料のAI特殊効果「Pikaffects」を次々と追加。崩壊(crumble)、溶解(dissolve)、収縮(deflate)、膨張(inflate)、消失(ta-da)、といった視覚効果を、ウェブベースで簡単に適用できる。画像をアップロードし、「Pikaeffect」ボタンで効果を選択するだけで、対応する動画を生成できる仕組みだ。 崩壊などの特殊効果を作成するには、一般的にコンピュータグラフィックスを含む複雑で時間を要するワークフローになるため、コストも高くなる傾向にある。Pikaの新機能は、この制約を打ち破るものになると期待される。