何もかもうまくいかず自己否定の“沼”にハマった漫画家志望が、耳かき専門店で働き始める【漫画家インタビュー】
耳かき専門店での勤務経験を基にしたオリジナル漫画をSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”に浸かってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな想いを抱える客たちとの出会いを通じ、強すぎる自己否定感と向き合っていく姿を温かいタッチで描く。耳かき専門店の知られざる裏側とは。著者の森民さんに、第1話についてお話をうかがった。 【漫画】『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』を読む
アルバイトを始めてもミスの連発で長続きせず、漫画活動も落選続きの日々に、すっかり自己否定の“沼”にどっぷり浸かってしまった主人公・森民。ダメ人間の自分でも続けられそうな仕事を探す中、「耳かき専門店」にたどり着く。面接を突破し、研修を受けることになるが……。
読み手の共感を意識して実話ベースにチャレンジ
――ご自身の体験をベースにした作品を描こうと思った経緯を教えてください。 当時オリジナルの創作漫画を描いて出版社へ持ち込みをしても、なかなか結果が出なくて打ちのめされていました。そんな時に、担当編集者さんから実体験をベースにした漫画にチャレンジしてみてはどうかとアドバイスをもらい、現実世界と地続きの世界観で漫画を描いてみようと考えました。 当時は物語にリアリティを出せず、読み手に共感してもらいづらいという課題を持っていて、その訓練のためにも実話ベースの作品に挑戦したという経緯です。 ――「耳かき専門店」について、働く前と働き始めた後で想像と違った点や、初めて知って驚いたことは何でしょうか? もともとはゆったり自分のペースで働けるイメージがあり、それが魅力で働いてみようと考えました。平日はイメージ通りでしたが、土、日、祝日がとにかく忙しい……。ひっきりなしにフリーのお客さんが訪れて、多い日だと10人以上を担当することもありました。 新人さんはだいたい休日の忙しさにびっくりしますね。自分も3カ月くらいは、膝枕疲れで足がガクガクになりながら帰っていました。人の頭って予想以上に重い……と気づかされました(笑)。 ――自己肯定感を高めるために心がけていることは何かありますか? まずは自分の心としっかりと向き合うために、心理学やメンタルヘルスについて勉強して知識をつけるようにしました。そこから、何事も過剰に否定も肯定もしないで、どんなダメな自分でも受け入れる、という思考の訓練をするようにしました。 ただ人と比べてしまい、なかなか自己否定する癖が抜けずに苦労しました。というか、いまだに苦労しています。昔よりは全然よいですが、いまだに気を抜くと自己否定の気持ちがひょこっと顔を出してしまいます。 やる気はあれど、自己否定感で苦労する自分との向き合い方を実体験ベースに描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。森民さんの耳かき専門店での奮闘ぶりと発見の日々をご覧いただきたい。