チーム三菱ラリーアート、田口勝彦が総合5位完走。増岡総監督「悔しさをバネに来年、また頑張りたい」/アジアクロスカントリーラリー
8月11日(日)から一週間にわたって、東南アジアのタイで開催されたAXCRアジアクロスカントリーラリー2024が17日(土)に閉幕した。計4台の『ミツビシ・トライトン』で同ラリーに参戦したチーム三菱ラリーアートは、107号車をドライブした田口勝彦/保井隆宏組が総合5位でフィニッシュしたほか、小出一登/千葉栄二組(137号車)が総合24位、サクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ(137号車)も総合27位でラリーを完走した。 【写真】ラリー完走者に与えられるメダルを首から下げた『デリ丸。』 サポートカーの『ミツビシ・デリカミニ』でチームに帯同した 一方、2022年大会の覇者でチームとともに2年ぶりの優勝を目指していたチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組(103号車)は、総合首位で迎えた競技5日目にエンジントラブルに見舞われ、リタイアを余儀なくされている。 2024年のAXCR競技最終日となるレグ6は、カンチャナブリ市街地の北部エリアを舞台にループステージが設定され、その中に用意された全長86.73kmのスペシャルステージ(SS)にて今大会最後のタイムアタックが実施された。 “エースドライバー”であるヨーターが戦列を離れたあとチームの最上位クルーとなった田口組は、この日も大会を通じて苦戦を強いられたルートの見定めに手こずりSS6の序盤で大きくタイムを失ってしまう。それでもステージ12番手タイムでフィニッシュし前年の8位を上回る総合5位でラリーを完走した。 今年新たにチームに加わった、三菱自動車の社員ドライバーである小出はSS3での13番手に次ぐステージ14番手タイムを記録し、中団グループを走れるスピードがあることを証明して最終日を締めくくった。“クイックサポート”を担っていた彼の最終順位は総合24位。SS4でスタックした130号車の救出や、SS5のフィニッシュ2km手前で突然エンジンがストップしてしまったヨーターの103号車を牽引して運ぶなど、チームメイトの救援にあたりながらAXCR初出場初完走を果たしている。 ベテランのハーントラクーンはこの日のSSでなかなか正規ルートに乗れず、完全に道をロストしてしまったことから離脱を選択。この結果ペナルティを受け総合27位での完走となっている。これに代表されるように、今季2024年のAXCRは競技初日のレグ1から連日のように多くのクルーが道に迷う事態が発生。あらためてクロスカントリーラリーという競技におけるナビゲーションの重要性が浮き彫りになる大会となった。 元ダカールラリー2連覇王者で、今年もチーム三菱ラリーアートを率いた増岡浩総監督は「優勝できなかった悔しさをバネに来年、また頑張ります」とコメント。12日(月)から6日間続いた約2100kmの長い戦いを次のように振り返った。 「今年は全体的に難しいコース設定でナビゲーションがすごく大変でした。悪路で走破性を求められる部分も含め、変化に富んだコースだったと思います」 137号車と103号車にマシントラブルが出てしまったが、増岡氏は前年大会終了時のコメントと同様に開発の方向性が正しいことを強調する。「昨年のリベンジを果たすべく、全方位的に『トライトン』を進化させてきましたが、その効果を確かめることができました」 「一方で、チャヤポン(・ヨーター)選手が3番手からひとつずつ順位を上げて首位に立ちましたが、トラブルという悔しい結果になってしまいました。ただ、準備をしてきた方向性は間違っていませんし、クルマのパフォーマンスも大きく向上しました。来年に向け、さらに走行性能と信頼性を高めるよう、準備を進めたいと思います」 「4号車に乗った社員ドライバーの小出(一登)選手も、後半にかけて走りが良くなってきたと思います。この経験をぜひ社内で活かし、若手を育ててもらえるものと期待しています。応援ありがとうございました」 AXCR2024を戦ったチーム三菱ラリーアートの各ドライバーによるコメントは以下のとおり。 ●チャヤポン・ヨーター 103号車ミツビシ・トライトン/リタイア 「初日からつねに自分たちのペースで戦い続け、木曜日のSS4で首位に上がることができた。しかしその後、SS5でトラブルに見舞われてしまい、首位を失うことになってしまった。非常に残念だし、悔しかった。でもチーム全員が見事な働きをしてくれたので、その点についてはとてもハッピーだ。また来年に気持ちを切り替えて頑張りたいと思う」 ●田口勝彦 107号車ミツビシ・トライトン/総合5位 「今日は後続との差を考えて、負けないように走っていましたが、途中でコースから外れてしまい、ヒヤヒヤものでした。やはりこのラリーはひと筋縄ではいかないですね。今年のコースは去年と比較して、全体的にジャングルというか低速コーナー、砂地、コーナー数がとても多かったイメージです。『トライトン』が良くなったことで、昨年の8位から順位を上げることができた点は良かったのですが、本来ならもっともっと上位にいけるので悔しさが残りますね」 ●サクチャイ・ハーントラクーン 130号車ミツビシ・トライトン/総合27位 「最終日は完全に道に迷ってしまい、出口を見つけられずに困り果てた。今回のラリーでは序盤のペースも良く、ルートを見失うことがなければとても良い大会になったと思う。『トライトン』はまったく問題なかったのだが、やはりナビゲーションが難しかったのだと痛感している。どれほどクルマの性能が良かったとしても、正確なナビがなければ勝利を得ることはできない。SS4ではスタックしていたところ、小出選手が助けにきてくれた。あの時は本当に助かったよ」 ●小出一登 137号車ミツビシ・トライトン/総合24位 「たくさんの経験ができたラリーでした。ただ、周囲の情報をコドライバーの千葉選手に伝え切れず、千葉選手のパフォーマンスをフルに発揮できる状態にできなかった点は非常に残念だったと思います。クイックサポートではチームに貢献できたかなと思っていますが、(クイックサポートは)本来、活躍しないほうが良いものなので、個人的には複雑な思いですね。任務は果たせましたが、チームが結果を出せなかったので、そこは非常に悔しい思いでいっぱいです」 [オートスポーツweb 2024年08月19日]