「選手を辞める選択肢なかった」産休からの復帰戦で衝撃V!若きママレーサーの目標は“子育てと両立してGP出場”
師匠からのお墨付きで思いがけず早い復帰に
ガールズケイリンでは現在、出産後1年の産休期間が設けられている。大久保は産後すぐに復帰に向けて動き出した。 「妊娠しているときは全く自転車に乗らない生活だった。めちゃくちゃ太ってしまって産後も痩せる気配が全くなくて…。最初は『復帰するまでに痩せないと』と自転車に乗り始めました」 まずはアスリートの体に戻すことを目的に練習を始めた。産休の1年をトレーニングに充てるつもりだったが、師匠の目には早い段階で十分レースを走れる力があると映ったようだ。 「(藤田)剣次さんから『花梨、もうレースに復帰できるだろう』って言われて。最初は2025年の1月から復帰するつもりで計画していたんですが、周りの人からも『もう行ける』と言われてちょっと驚きました」 産休中の4月には地元久留米でGI「オールガールズクラシック」が開催された。晴れ舞台での姉弟子・児玉碧衣の活躍にも心を動かされたという。 「オールガールズクラシックも大きかったです。碧衣さんが3連勝で完全優勝。プレッシャーのかかるレースで結果を出して『スゲー!』って。私は選手会ブースでお手伝いをしていて、同期とも久しぶりに会うことができた。いろんな刺激をもらった開催でした。そのおかげで『早く復帰したい』という思いは強くなりました」 7月にレース復帰に向けた走行能力調査を行い、JKAからゴーサインをもらうと、8月の武雄からガールズケイリンの舞台へ復帰した。
復帰戦でいきなり優勝「本当に変わりました」
復帰戦は2、1、1着といきなり優勝し、ファンを驚かせた。 「緊張するかなと思ったけど、復帰戦は思ったより落ち着いていました。まだ誰も復帰直後の自分に期待していないかなというのもあって思いきったレースができたのかもしれませんね」 まぐれではない。続く2場所目の熊本では準優勝、3場所目の久留米と4場所目の佐世保で優勝。ママさんレーサー・大久保花梨として好成績を収め続けている。しかも地元久留米での優勝は、デビュー以来初めてだった。 「子どもを産む前とレースに向かう心境は変わりました。以前は、とにかく自分の成績を良くしたい一心で走っていたけど、今は子どものために走っている。言い方が難しいけど、子どものもとへ無事に帰ることが大切になりました。前は開催が終わったあとは飲みに行ってたけど、今は子どもの顔が早く見たいのですぐ帰ります。本当に変わりましたよ」