“紀州のドンファン”13億円の遺産 「全財産を田辺市にキフ」遺言書は有効 和歌山地裁「野崎さんが自書し押印したとみるほかない」
ABCテレビ
和歌山県田辺市で酒の販売や金融業を営み、一代で莫大な資産を築いた、野崎幸助さん。これまで女性4000人に、30億円を貢いだとも語っています。その野崎さんの遺産を巡る遺言書について、親族が無効を求めた注目の裁判がきょう21日、和歌山地裁で開かれました。
55歳年下の元妻が殺人などの罪で逮捕・起訴される
2018年、55歳年下の女性と電撃結婚した野崎さん。しかしその3ヵ月後、「急性覚せい剤中毒」によって、野崎さんは突然死亡。自分で覚せい剤を飲んだのか・・・ 何者かによって飲まされたのか・・・ 警察による捜査が続きました。 その3年後、事態は急展開を迎えます。元妻の須藤早貴被告が殺人などの罪で逮捕、起訴されました。 この事件の刑事裁判はまだ始まっていませんが、野崎さんを巡ってもうひとつ注目を集めているのが、きょう21日に和歌山地裁で開かれた裁判です。
遺言書の無効を訴え、野崎さんの遺族が提訴
赤い字で「全財産を田辺市にキフする」と書かれた紙。この野崎さんが書いたとされる遺言書について、野崎さんの親族は無効を求めて提訴しています。 田辺市によりますと、野崎さんの遺産は現金や有価証券などで少なくとも13億2000万円に上り、土地や建物、絵画などもあります。 これまでの裁判で、親族側は「走り書きをしたような文字で記載され自身の意思に基づいて作成されていない」と主張していて、被告となった田辺市側は訴えの棄却を求めていました。
最大の争点は、筆跡が野崎さん本人のものかどうかです。 遺族側は、「偽造された可能性が高い」として筆跡鑑定を3件、裁判所に提出しています。 一方、被告の田辺市側は野崎さんが自署したものと述べ、主張は対立しています。
「遺言書は有効」和歌山地裁が親族側の訴え棄却
きょう21日、和歌山地裁は遺言書を有効と認め、親族側の訴えを棄却する判決を言い渡しました。 (判決文より) 「(野崎さんが)本件遺言書の全文、日付及び氏名を自署し、末尾に押印したとみるほかなく、幸助(野崎さん)以外の者による、本件遺言書作成への関与をうかがわせる事情とはいえない」
田辺市の受け止め 「市民全体に返すことができるものに」
遺言書の有効性が認められた田辺市は裁判のあと、会見を開きました。 田辺市の年間予算は440億円ほどで、この13億円超という野崎さんの遺産の額は、市にとってかなり大きいものと思われます。 遺産の使い道に関しては、裁判が第一審で終わるかわからない(原告側が控訴する可能性がある)ということ、そして市の財政状況が今、良い状況にあるということから、「すぐに使うことは考えていない」「市民全体に返すことができるものに使いたいが、具体的なことはまだこれから考えていく」と述べるにとどまりました。 (『newsおかえり』2024年6月21日放送分より)