工事遅れる万博の救世主? パビリオンに新たな選択肢「タイプ・ウッド」 不調の「タイプX」に代わり木が活躍するか 過去には開幕に間に合わなかった例も
開幕まであと300日を切った大阪・関西万博。 会場となる大阪・夢洲では急ピッチで建設工事が進んでいますが、かねてから指摘されているのが「海外パビリオンの建設遅れ」です。
"万博の華"タイプAの断念相次ぐ 代替案のタイプXも3カ国のみ
”万博の華”と呼ばれる独自のパビリオン(タイプA)を出展予定の国は当初、約60カ国ありました。しかし資材費高騰などで断念する国が相次ぎ、今は52カ国にとどまっています。 そこで万博協会は、協会が代わりに建設し出展国に引き渡す簡易型パビリオン「タイプX」を提案し、9棟が建設中ということですが、手を挙げたのはブラジルなど3カ国のみです。
独自パビリオンは12カ国が建設業者決まらず どうする・・・?
「タイプX」の建設費用は出展する国の負担としているため、このままでは数棟分の費用、最大数十億円を協会側が負担する可能性が出てきました。 そして問題は建設費用だけではありません。そもそも独自パビリオンで出展予定の国のうち、12カ国は建設業者すら決まっていません。 こうしたなか、問題解決に向け大きな切り札とも言える”新たな建設プラン”が浮上しました。
救世主は木! 木造のパビリオンなら「ギリギリ可能」
「最近木が注目されて、木造の20階建ての建物もできています。これからは木の時代だ」 (大阪府木材連合会・津田潮会長) その名も”タイプ・ウッド”。万博パビリオンを木で作ろうというのです。 木造パビリオンは一般的な住宅で使用される資材を使うため、建設のノウハウなども蓄積されています ・資材調達が容易 ・工期が短い ・コストダウンが可能 などの特徴があるといいます。 「今から設計をして確認申請をすれば、10月までに躯体(骨組み)を仕上げることはギリギリ可能。今が間に合うかどうかの正念場だと思う」 (津田会長)
過去の万博も「間に合っていなかった」 開幕後の建設工事は問題も
タイプ・ウッドは元々去年の夏頃提案されていましたが、協会がタイプXを提案したタイミングと被ってしまいました。万博協会が公式に提案していたのがタイプXだったので、当時は話が前進しませんでした。ただ、海外パビリオンの建設が進まない状況を受け、大阪府木材連合会が再提案しました。 開幕まで300日を切り、大阪府の吉村知事は開幕に支障が出るような遅れにはならないが、間に合わない国がいくつかある。それは過去の万博でもあるので今回もありうると発言しました。 実際、2010年上海万博では、ネパール館が開催中に建設工事を続けていました。 万博を開催する側がプレッシャーをかけても、建設する各国のペースはまちまちで、おおらかに構えている国もあるのが実情です。 一方、万博協会の石毛事務総長は、内装や展示を含む必要な準備を開幕までに終える必要があると主張しています。ただ、石毛事務総長がこのように発信する意図は各国に急ぐよう促すねらいがあるとみられます。 開幕後に建設工事が行われると、来場客が来ているなかに重機などが通ることになり、スペースを確保するのが難しくなります。そのため、協会は基本的には開幕に間に合わせてほしいと一貫して主張しています。 (『newsおかえり』2024年6月20日放送分より)