サクランボが異常気象で不作…一大産地の山形県が募らせる危機感、観光業への打撃も
今が旬の「赤い宝石」に異変が起きている。 山形県によると、2024年のサクランボの予想収穫量は1万2100トンで、前年比93%、平年比91%だ。昨年より1000トンほど落ち込むとみられ、価格が高騰する恐れもある。 「街のケーキ屋さん」は生き残れるか? 物価高と人件費増で倒産急増、コンビニスイーツの台頭も影響 不作の背景にあるのは異常気象だ。昨夏の猛暑で、めしべが2本になる「双子果」の発生が目立ち、商品として出荷するのに適さない果実が増えた。さらに、今春の開花期には平年より高温かつ乾燥した日が多く、めしべに花粉が付きにくかったことも影響している。 山形県はサクランボの国内生産量の実に7~8割を占める一大産地。県庁は危機感を募らせる。 「サクランボの栽培は大変で、人手も手間も、時間もかかります。今後、高温など異常気象による不作があまりにも続くようなら、採算が取れなくなり、他の作物に切り替える農家も出てくるかもしれません」(農林水産部園芸大国推進課) ■それでも食べたければ… 県内でも有数の産地である南陽市も、異常気象の対応に追われている。 「栽培する品種を変えたり、畑が高温にならないよう対策を施したり、試行錯誤しています。不作が観光業に影響する可能性もあります。サクランボは気温が高いとそれだけ生育が早まり、収穫の時期が前倒しになるため、サクランボ狩りを楽しめる期間が短くなります。今後の天候次第ですが、観光客の受け入れを断らざるを得なくなることも予想されます」(商工観光課) そのうちサクランボが高根の花になってしまうかもしれないが、それでも食べたければこんな裏技があるという。 「サクランボ農家は人手不足で、収穫期にアルバイトを募集しています。それに応募するか、農作業と観光がセットになった『アグリツアー』に参加することで、規格外のものを安く食べられるかもしれません」(園芸大国推進課=前出) 果実にありつくには汗を流さなければならない。