国学院大が全日本大学駅伝初優勝 出雲で駒大、伊勢で青学大との激戦制する 前田監督「実感ないんですけど…幸せものです」箱根駅伝で3冠へ 青学大は3位
◆学生3大駅伝第2戦 全日本大学駅伝(3日、名古屋市熱田神宮西門前スタート~三重・伊勢市伊勢神宮内宮宇治橋前ゴール=8区間106・8キロ) 【写真】ゴール地点で前田監督と選手を迎える大物女性歌手 今季開幕戦の出雲駅伝(10月14日、島根・出雲市=6区間45・1キロ)を制した国学院大が、伊勢路でも強さを見せつけ、全日本大学駅伝初優勝を飾った。19年と今年の出雲駅伝に続き、学生3大駅伝3勝目。エースで主将の平林清澄(4年)を中心に、第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、悲願の初優勝を目指す。1990年度の大東大、2000年度の順大、2010年度の早大、2016年度の青学大、2022年度の駒大に続いて、5校目となる3冠の偉業もかかる。2位はゴール直前で青学大をかわした駒大。青学大は3位だった。 国学院大の前田康弘監督(46)は「(優勝した)実感ないんですけど…」と初Vに半信半疑も、「素晴らしいチームで監督の立場で立たせてもらって幸せものです」と感慨深げだった。 今季の国学院大の強さは、本物だ。4区終了時点で3位。黒田朝日(3年)の好走で首位を快走する青学大と1分27秒差をつけられた。距離にして約500メートル。相手が見えない状況まで追い込まれたが、5区で野中恒亨(2年)が区間賞で2位に浮上。さらに6区で副将の山本歩夢(4年)が区間新記録の快走で、青学大に4秒差と肉薄した。 エース区間の7区(17・6キロ)では平林が、青学大エースの太田蒼生(4年)と死闘を演じた。一時は約20秒の差をつけられたが、14・8キロで追いついた。残り2キロで引き離されたが、4秒差にとどめた。つまり、太田と同タイムだった。 前が見える位置でタスキを受けたアンカーの上原琉翔(3年)は500メートルで青学大の塩出翔太(3年)に追いついた。その後は冷静に走り、塩出に競り勝つ。チームメートが待つ伊勢神宮内宮宇治橋前のゴールに飛び込んだ。 開幕戦の出雲駅伝では、終盤まで国学院大、駒大、青学大の「3強」が激しい優勝争いを繰り広げた。最終6区で国学院大の平林と駒大のエース篠原倖太朗(4年)の一騎打ちに。大阪マラソン(2月25日)で日本学生最高記録の2時間6分18秒で優勝した平林が無尽蔵のスタミナを見せつけて優勝のゴールテープを切った。 出雲では駒大に、伊勢路では青学大に、大接戦の上に勝ち切った。 駒大出身の前田監督は「最近の3大駅伝はほとんど駒大か青学大が優勝しています。ほかのチームも勝たないとつまらないじゃないですか」と、母校の駒大と、近年の大学駅伝主役となっている青学大に対しても、臆することなく話す。 チームを率いる主将の平林はチームメートに厳しい。ただ、自分にはもっと厳しい。夏合宿ではチーム練習が30キロ走の時、40キロ走を敢行した。最も苦しい終盤には「ここで頑張れば箱根駅伝で勝てるぞ!」と走りながらゲキを飛ばした。 平林は来春の卒業後、実業団のロジスティードに進む意思を固めた。卒業後も国学院大を練習拠点として前田監督の指導を仰ぎ、来年の東京世界陸上、28年ロス五輪で日本代表を狙う。世界の舞台を目指す前に学生ラストシーズンを全力で戦っている。 残るは箱根駅伝だけ。前田監督は「一戦必勝です。『3冠を狙います』とは言いません。『終わってみれば3冠だった』という形になれば最高です」と冷静に語る。 出雲路から伊勢路。そして、箱根路へ、国学院大の快進撃が続く。
報知新聞社