加藤登紀子の山の日ソング「スリリングな箇所も楽しんで皆に歌ってほしい」
自然や地球環境に関心を持っていらっしゃいます。その活動について教えてください
加藤:10年間、国連環境計画の国連大使として、アジア、オセアニア地域15カ国を訪問しました。人が暮らすところで一番ダメージをこうむる場所、ゴミの集まる場所、環境汚染が厳しいところとかばっかり見てきました。ついこの間まで自給自足していた地域とか、自然との関わりが強かった地域こそ、環境の被害が大きいんです。ネパールの奥地などは、地球温暖化の影響を大きく受けています。都会の冷暖房完備でエネルギーをたくさん使って高層ビルの中で暮らしている人たちは、自分たちの暮らしがダメージの元になっているとは気が付かない。温度管理されていて、自然に触れる機会がないので身をもって被害者だと感じないわけなんです。 私、10年間見てきて本当に大変なことになっていると感じました。だから私たちできるだけ、ダメージを出すもののお世話になる率を下げていきたい。食生活の中でもエネルギーをたくさん使ったものを食べたり、農薬をいっぱい使ったり、地球にダメージを与えるものに頼って生活したくないって思ってます。そういう生活ができるのが田舎なんです。田舎暮らしを皆でしていこう、というのは自分自身の精神的な安心にもつながると思います。都会に住んでいると、地球にダメージを与えているという負担感も感じますし、できるだけそういうものから、離れて暮らしたい。都会でいう豊かさとかゴージャスなオシャレというのが、全然うれしくない、むしろ精神的なプレッシャーになってしまうのが、私にはあります。 音楽を通してですと、野外フェスはとてもいいですね。とくにフジロックはお客さんにも厳しいですよ。トイレの中にさえ、お説教が書いてある。「去年ここに来た人が分別をしてくれたから、今年もここにトイレットペーパーがあるんです」みたいなことが書いてあるし、皆さんきれいに使ってますよ。世界で一番、優しい穏やかな気持ちの満ちているフェスっていわれています。