【2024年版】建設業界とは?業種・職種から現状と課題、将来性まで解説【志望動機の例文あり】
建設業界、今後の展望は
政府統計「建築着工統計調査(年次)」(※1)によれば、2021年以降、工事費予定額ベースにおける国内の建築物総着工数は増加し続けています。 その背景の一つに、「インフラ老朽化問題や防災インフラの充実・強化」に対する需要が挙げられます。建設物は一定の年数で設備の入れ替えや建て替えが迫られるものであり、加えて将来的に災害の発生も想定される中、今後も対策を講じていかなければなりません。政府の国土強靱化基本計画(※2)においても、防災インフラの強化は5本柱の一つに掲げられています。 さらにその中では「建設・医療を始め国土強靱化に携わるあらゆる人材の育成」が基本方針として盛り込まれており、「建設業界の課題」の項でも触れたように、「人手不足」の課題に対し、国も施策を打とうとしていることがうかがえます。これは、業界に対する期待や注目度が高いと見ることもできるでしょう。 国はまた、日本の技術力を海外のインフラ案件にも生かそうと、企業や地方自治体に海外展開を推進してします(※3)。「建設」もその取り組みが期待される分野の一つであり、橋梁(きょうりょう)設計や建設技術、道路計画を有する業界にとって、企業規模を問わず進出のチャンスとなるはずです。 そのほかにも、国内では半導体製造工場、データセンター、新幹線の設備、スタジアムやアリーナなど、さまざまな建設プロジェクトが進行しています。 こうしたことから、建設業界への需要は新規受注からメンテナンスまで、今後も絶え間なく続くと言えるでしょう。 ※1 出典:統計で見る日本│e-Stat ※2 出典:国土強靱化基本計画│内閣官房 ※3 出典:「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2022」を決定│国土交通省 ■建設業界の動向 ここでは、建設業界の最新動向について解説していきます。 ▶BIM/CIMなどのICT活用 「BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)」は、 測量・調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理・ 更新の各段階においても3次元モデルを連携・発展させる仕組みです。 これにより、事業全体における関係者の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることができます。 また、機械土工においては、生産性の高いICT建機活用手法も検討されています。国全体で活用を推進するために、国土交通省は「建築BIM加速化事業」に取り組んでいます。 ▶環境への配慮 国土交通省によれば、日本の産業部門におけるCO2排出量は、建設機械における排出量が約571万トンで、産業部門全体の35パーセントのうち1.4パーセントを占めています(※)。 このほかにも建設工事現場で使用されるエネルギーの燃焼により、多くのCO2が排出されている状況があります。建設施工におけるカーボンニュートラルの実現においては、施工の効率化・高度化 ・ディーゼルエンジンを基本とした燃費性能の向上・革新的建設機械の導入拡大などの項目が挙げられています。 ※出典:国土交通省における 地球温暖化緩和策の取組概要 さらに、経済産業省・国土交通省・環境省が連携する形で、ZEH(※1)の普及促進にも取り組んでいます。ZEHは、「省エネ・省CO2化に取り組み、エネルギー収支をゼロに抑えることを目標とした住宅」を意味します。 国は、2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建て住宅の半数以上をZEHにし、2030年までに 建売戸建てや集合住宅を含む新築住宅の平均でZEHを実現することを目指しています。 また、大手ゼネコンでは、コンクリートにおける産業副産物の使用割合を極限まで高めた「環境型配慮型コンクリート」を開発し、適用している企業もあります。 ハウスメーカーにおいても、ITを用いた省エネルギー住宅を提供する「スマートハウス」や、AI(人工知能)やIoT(※2)を用いた便利で安心できる生活空間を提供する「スマートホーム」に積極的に取り組む企業も登場しています。 ※1 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称。高断熱化と高効率設備によりできる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電などによりエネルギーをつくることで、1年間で消費する住宅のエネルギー量を実質的にゼロ以下にする住宅のことを指す。 ※2 「Internet of Things」の略。「モノのインターネット化」とも呼ばれ、モノがインターネット経由で通信することを意味する。 ▶M&Aによる経営強化と高齢化に伴う後継者問題 近年の建設業界では、M&Aが活発化しています。事業エリアの拡大や人材の獲得を目的とした買収が行われたり、技術力・ノウハウなどを獲得することを目的にゼネコン同士でM&Aが行われたりしたケースが見られます。 また、設備工事会社やハウスメーカーがゼネコンを買収した事例なども登場しています。さらに、工務店やサブコンなどの中小規模の事業者は、経営者の高齢化が進む中、経営を引き継げる後継者が見つからないという問題も発生しています。