【韓国政情不安で高まる東アジアの脅威】後退させてはいけない日米韓同盟、日本は「国連軍地位協定」の役割を知らせよ
ロシアの違法なウクライナ侵略からまもなく3年が経とうとしている。米国などの自由主義諸国が構築、維持してきた国際秩序の変更を目論む中国は、一貫してロシアの違法な侵略を支持し、国連を無力化させてしまった。 そして金正恩体制の維持だけが目的の北朝鮮も、ロシアと事実上の同盟を組み、ウクライナ戦争に弾薬やミサイルだけでなく兵士までも送り込んでいる。最大脅威の中国に加え、ロシアと北朝鮮という危ない連携に対し、日本政府は今こそ、国民に向けて多くの同志国と結んできた「国連軍地位協定」という多国間協力の役割を伝え、東アジアの安定に活かしていく必要がある。
休眠状態だった国連軍と地位協定
1950年6月、北朝鮮が韓国を侵略して始まった朝鮮戦争は、3年間の戦闘を経て53年7月に停戦協定が結ばれた。当時、違法な侵略から韓国を守るために結集した「朝鮮国連軍」への参加国は、「武力攻撃が再開された場合には、直ちに一致して世界平和のために抗戦する」との宣言を出し、戦争は停戦したまま現在に至っている。 宣言に基づき、韓国に国連軍司令部が、そして在日米軍横田基地(東京)に国連軍後方司令部が置かれている。もしも武力攻撃が再開されれば、日本は朝鮮国連軍の出撃拠点となるからで、政府は54年以降、朝鮮国連軍への参加国との間で、順次、在日米軍基地の利用など支援策について協定を結んできた。 それが「国連軍地位協定」であり、締約国は米国や英国のほかフランス、カナダ、豪州、ニュージーランド、フィリピン、タイなど11カ国で、それらの国々が現在、朝鮮国連軍として使える在日米軍基地は横田や横須賀、佐世保、嘉手納など7カ所となっている。 ただし休戦が長期化すると共に朝鮮国連軍自体が忘れられ、筆者が記者として自衛隊を担当し始めた90年代、海上自衛隊の広報から「明日、タイの艦艇が国連軍として横須賀に入港します」と伝えられ、「えっ!今どき国連軍」と聞き返したことを覚えている。 国連軍として入港すれば、入国手続きなどが不要といったメリットがあったからだ。ところが今、事実上の休眠状態だった朝鮮国連軍が長い眠りから覚め、日本周辺および東アジアの海空域で活動を開始していることを御存じだろうか。