【韓国政情不安で高まる東アジアの脅威】後退させてはいけない日米韓同盟、日本は「国連軍地位協定」の役割を知らせよ
突如出現した不安定要因
だがここにきて大きな不安定要素が出現してしまった。親北勢力に対峙するために非常戒厳を宣言した韓国・尹大統領に対する弾劾訴追案の可決である。昨年夏以降、日米韓の首脳による話し合いの枠組みは定例化し、対中、対北に対する安保協力は欠かせない状況であるだけに、予断を許さない状況に陥ってしまった。 昨年8月の光復節で、尹大統領は「日本が国連軍司令部に提供する7カ所の後方基地は、北朝鮮の韓国侵攻を遮断する最大の抑止要因になっています」と演説し、韓国首脳として初めて韓国防衛のために果たしている日本の役割に謝意を述べた。それだけに今回、反大統領派が提出した最初の弾劾訴追案は「北朝鮮と中国、ロシアを敵対視し、日本中心の奇妙な外交政策にこだわり(中略)北東アジアで孤立を招き、戦争の危機を誘発させた」という文面には愕然とせざるを得ない。 石破首相は12月5日、衆議院予算委員会で「日韓関係の改善を韓国の国益だという信念で進めてきた大統領の努力を損なうようなことがあってはならない」と訴えた。 だが今後、韓国で中国に傾斜し、北朝鮮との融和を唱える政権が誕生すれば、米韓同盟は揺らぎ、朝鮮国連軍およびその地位協定も存在が危ぶまれるかもしれない。日米韓の枠組みを後戻りさせないためにも、政府は多国間の枠組みで東アジアの安定を目指す活動が展開されていることの重要性を訴えなければならない。
勝股秀通