憲裁裁判官を任命しなければ「6人体制」も崩壊…尹大統領の弾劾手続きストップ(2)
韓代行の職務が停止する場合には崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が大統領権限代行の席を受け継ぐ。史上類例のない大統領・首相同時事故状態で、外交・安保・経済はもちろん、各種社会イシューに対する対応まで総体的な国政混乱が避けられない。崔副首相が憲法裁判官任命を引き続き保留して、来年1月1日が公布期間である金建希(キム・ゴンヒ)夫人特検法や内乱一般特検法などいわゆる「双特検法」に対して拒否権を行使すれば民主党は追加弾劾も辞さないという立場だ。国政空白はさらに大きくなる危険が高い状況だ。 これに関連して、民主党の朴範界(パク・ポムゲ)議員はこの日、SBS(ソウル放送)ラジオで「もし崔副首相が韓代行と立場が全く同じなら、引き続き弾劾するということか」という質問に「それしか方法がない」と答えた。これに先立ち、民主党の盧宗勉(ノ・ジョンミョン)院内報道官も23日、ユーチューブ(YouTube)で国務委員5人に対する連続弾劾を示唆していた。国務会議議事定足数(11人)未達によって国務会議を開くことができないようにし、国会が移送した法律案が自動確定して国会議長が公布させるという、いわゆる「国務会議無力化」戦略だ。 憲法裁判官の場合、憲法・憲法裁判所法上「大統領が任命する」とされているだけで迂迴路がなく、空白期の長期化は不可避という点はまた別の変数だ。チョウム憲法研究所のチョ・ユジン所長は「憲法上、任命権者が大統領なので大統領が任命しなければ事実上国会などが強制できる方法がない」と話した。文炯培(ムン・ヒョンべ)・李美善(イ・ミソン)裁判官が退任する来年4月18日までに後任者任命が空転する場合、憲法裁判所は4人体制に転落し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾審判も事実上中断する。尹大統領が職務停止状態で任期を満たす場合もあるということだ。弾劾審判と同じように裁判官6人以上の賛成を審判要件としている憲法裁判所の違憲法律・政党解散・憲法訴訟審判機能も、麻痺(まひ)手順を踏むことになる。 民主党の一部からは「崔副首相は違うだろう」という期待もある。崔副首相が国会で12・3非常戒厳当時のことに関して比較的具体的で透明に証言するなど民主党の信頼を得た側面があるためだ。朴範界議員はこの日「本人が真っ先に強く非常戒厳に反対したと主張していて、国務会議場を真っ先に飛び出したという」とし「そうした点は少なくとも評価するに値することは明らかだ」と話した。