「ハニワと土偶の近代」(東京国立近代美術館)開幕レポート。ハニワ・土偶のイメージとしての側面を探る
東京国立近代美術館で、「ハニワと土偶の近代」展がスタートした。会期は12月22日まで。担当は同館主任研究員の花井久穂(ハニワ担当)と成相肇(土偶担当)。 本展では、ハニワや土偶の実物がずらりと並ぶわけではない。ハニワや土偶が各時代においてどのようにとらえられ、どんな作品のモチーフとなってきたのか。はたまた、ハニワや土偶のブームがいかにして起こったか、といったその裏側を掘り起こし読み解くものとなっている。 導入では、東京国立近代美術館の地下には先史・古代の異物が眠っていることについて、地下収蔵庫新設に伴う発掘調査(1979~80)での出土品とともに紹介。また、開館当初開催された展覧会「現代の眼:日本美術史から」展(1954)の資料も展示されており、様々なテーマについて現在の目でとらえるといった同館の変わらぬ企画方針についても触れられている。 さて、会場は全4章で構成されている。序章「好古と考古─愛好か、学問か?」では、古代のものが近代においてどのようにとらえられてきたかということにフォーカスする。 洋画家・五姓田義松によって克明に描かれた埴輪のスケッチ、そして蓑虫山人(みのむしさんじん)による掛け軸には蒐集家による中国趣味の調度品に混じって土器や土偶が描かれており、まさに「好古」と「考古」のはざまを描いていると言える。
文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)