修学旅行「2泊3日で中学7万、高校10万円」は負担が重い? 葛飾区は“無償化”で自治体格差も
▼中学校の旅行費用の内訳と構成比
日本修学旅行協会がまとめた中学校の修学旅行費用の内訳は以下の通りです。
▼高等学校の旅行費用の内訳と構成比
日本修学旅行協会がまとめた高等学校の修学旅行費用の内訳は以下の通りです。 首都圏などでは、通勤ラッシュの時間に荷物を持って新幹線の駅や空港まで行くのは大変ですし、周囲の迷惑にもなるため、前もって送っておくケースが増えています。 なお修学旅行は予算も限られており、受け入れ側も大きく儲けるのは難しいようです。それでも、キャンセルがほとんどなく、かなり先の売り上げを見込めるため、小さな企業であれば経営安定に寄与します。また、和室旅館なら1室に4~5人は泊まるため、一部屋当たりの売り上げが大きくなるというメリットがあるそうです。
◆葛飾区は無償化。修学旅行にも自治体格差が
こうしたなか東京都港区では、全区立中学校の中学3年生、760人が修学旅行でシンガポールへ行ったことが話題となりました。家庭の負担もありますが、区が多くを負担しています。港区は大使館が多く、外国人人口も多く、国際交流や相互理解に力を入れてきたことが背景にあります。 「港区の人数だからできたともいえます。また企業も多くて税収もある。税収を何に使うかは自治体の判断です。最近では東京都葛飾区が2025年度から小中学校の林間学校や修学旅行を無償化すると発表しています。自治体によっては給食を無償化するところもありますし、優先順位が違います」と同協会 理事長の竹内秀一さん。 山梨県小菅村の公立中学校でもオーストラリアへの修学旅行を実施していますが、こちらも全校生徒が十数人の小規模校だからこそできる取り組みといえそうです。 自治体によって優先順位が違ったり、自治体の規模によって対応に差が出たりするのはある程度やむを得ないところですが、小中学校に関しては「国からのサポートがあればさらにありがたい」と高野さん。現状、要保護家庭に対しては一定の金額を国が補助していますが、さらなる支援の拡大を目指して、協会としても毎年陳情に行っているそうです。 家庭の状況や自治体の対応にも差があるなか、できるだけ多くの子どもたちが修学旅行で多くの学びを得られるよう、いろいろな工夫や支援をしていく必要がありそうです。
▼古屋 江美子プロフィール
子連れ旅行やおでかけ、アウトドア、習い事、受験などをテーマにウェブ媒体を中心に執筆。子ども向け雑誌や新聞への取材協力・監修も多数。これまでに訪れた国は海外50カ国以上、子連れでは10カ国以上。All About 旅行ガイド。
古屋 江美子(ライター)