英国で政権交代、スターマー労働党首が首相就任-総選挙で大勝
(ブルームバーグ): 英下院選挙で地滑り的な大勝を収めた労働党のスターマー党首が首相に就任し、「安定と穏健」の政府を率いると約束。英国の政治を「リセット」すると表明した。
4日投開票された下院選(定数650)では、与党だった保守党が惨敗。混乱に見舞われることも少なくなかった14年間の政権運営に有権者の厳しい審判が突きつけられ、獲得議席は121と過去最低にとどまった。一方、労働党は結果が判明していない選挙区が残り2となった時点で412議席を確保し、トニー・ブレア元党首の下で政権を奪還した1997年以来の圧勝を飾った。
バッキンガム宮殿で国王チャールズ3世から正式に首相に指名された後で、スターマー氏は5日、「変化が起こるにはしばらくかかるだろうが、取り組みは今すぐ始める。これは疑いない」と官邸前で発言。「英国を立て直し、あらゆる共同体で富が創出する」と述べた。
新政権は経済と政治の両面でさまざまな課題に直面する。労働党は過半数を大幅に上回る議席を得たとは言え、得票率は34%前後。選挙の投票率は60%と過去20年余りで最も低かった。労働党の投票しなかった有権者に向けてスターマー氏は、政治が良いことのための力になり得ることを示すと約束した。
英国で明らかになった分断の修復を図る意向も明らかにした。今回の選挙では、ブレグジット(EU離脱)活動家ナイジェル・ファラージ氏が党首を務める「リフォームUK」やパレスチナ自治区ガザでの戦争反対を唱える左派の無所属候補など、左右の急進的な勢力も台頭した。
「この信頼の欠如は、言葉ではなく行動によってのみ回復できる」とスターマー氏は語った。
これに先立ち、保守党を率いて選挙に臨んだスナク前首相は官邸前で記者会見し、結果を謝罪した上で、党首を近く辞任する意向を表明した。
下院解散前のスナク政権メンバーでは、首相とハント財務相が議席を維持したものの、シャップス国防相は労働党に敗れた。トラス前首相もサウスウェストノーフォークの選挙区で労働党に議席を奪われ落選した。