積極的に「運転席」へ座りたい! トヨタ・プリウスへ英国市場 一気にスタイリッシュに
223psへ大幅に増強 洗練度は高い
プラグイン・ハイブリッドの動力源になるのは、152psの2.0Lガソリンエンジンと、163psの駆動用モーター。英国仕様の最高出力は、223psとなる。4代目は123psだったから、大幅なパワーアップを果たしたといえ、0-100km/h加速は6.8秒でこなす。 トランスミッションに当たるのは、無段変速機のe-CVT。プラネタリーギアを介し、駆動用モーターと内燃エンジンを必要な回転数で制御でき、高効率なことが特徴。信頼性も高い。 プラグイン・ハイブリッドの駆動用バッテリーはリアシートの下に載り、容量は13.6kWh。電気だけで、最長85km走れると主張される。 ドライブモードにはEVモードも備わるが、基本的には、できるだけ違和感なくエンジンとモーターが協調するように設計されている。ドライブトレインはスムーズで、洗練度は高い。 日常的な条件なら殆ど電気だけでまかなえるが、バッテリーEVのような距離までは走れない。4気筒エンジンが始動すると、高負荷時には若干唸るようなノイズが聞こえてくる。鋭い加速を求めると、洗練度は僅かに低下してしまう。 もっとも、これらは多くのプラグイン・ハイブリッドでも同様だが。
運転が楽しいと感じられる5代目
5代目プリウス最大の特長が、多くのドライバーにとって運転しやすく、楽しいと感じられること。筆者のような、スポーツカー好きでも。 車重は1545kgで、ハイブリッドのハッチバックとして考えれば妥当な重さ。全高が低いため、重心位置も低い。 軽く回せるステアリングホイールは、滑らかに反応し正確。フォード・フォーカスのようなシャープさや一体感までは備わらないとはいえ、多くのモデルより好感触。リラックスした運転を妨げることもない。 今回の試乗は短時間で、有効な平均燃費を得られるほどではなかったが、歴代のプリウスは燃費に長けていた。くさび型のフォルムを考えれば、車重が増えがちな同クラスのSUVやクロスオーバーより高効率と考えて良いだろう。 トヨタ渾身のハイブリッド技術を搭載し、ずんぐりしたフォルムをまとったプリウスの登場から約30年。進化を重ね、現在市販されている中で最高のハイブリッド・パワートレインの1つを搭載しつつ、これまでにはなかった動的能力と洗練性も獲得している。 スタイリングは好印象だし、乗り心地も良い。運転は充分楽しく、従来的なファミリーハッチバックとしての魅力も宿している。後席ではなく運転席へ積極的に座りたいと思える、トヨタだと思う。 ◯:洗練されたスタイリング 優れたエネルギー効率 △:ハイグレードのモデルは高価 インテリアの素材が凡庸
トヨタ・プリウス・プラグイン・デザイン(英国仕様)のスペック
英国価格:3万7315ポンド(約716万円) 全長:4599mm 全幅:1782mm 全高:1430mm 最高速度:177km/h 0-100km/h加速:6.8秒 燃費:142.7-200.0km/L CO2排出量:12g/km 車両重量:1545kg パワートレイン:直列4気筒1987cc 自然吸気+電気モーター 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:13.6kWh 最高出力:223ps(システム総合) 最大トルク:21.1kg-m(システム総合) ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)
マット・プライヤー(執筆) 中嶋健治(翻訳)