29歳で迎える箱根駅伝予選会 東大大学院から、初の本戦出走をめざす「進化したところを見せられたら」
走りの実力を高め、研究への興味も大きく
熊本県の八代高校で陸上を始めた古川。はじめは5000mのタイムは16分40秒ほどだったが、練習すればするほどタイムが伸びて、3000m障害で南九州インターハイにも出場。卒業時には15分5秒までベストが伸びた。一浪して熊本大学に入学し、大学3、4年の時には熊本城マラソンで連覇。全日本大学駅伝九州地区選考会の結果をもって、3年時には全日本大学選抜、4年時は日本学連選抜チームで伊勢路を駆けた。 マラソンで好結果を出した頃から、「人と走ると楽なのではないか」と素朴な疑問と興味を持つようになった。先行研究で空気抵抗に関する論文はあったが、単にそれだけではないのではないか。九州大学大学院に進学してからは、本格的に「追尾走」をテーマに研究するようになった。 21年には研究と走りの両立を考え、環境としても「ベストな選択」という東大大学院博士課程に進んだ。関東インカレ3部では1年時は5000mと10000mに、2、3年時は5000m、10000m、ハーフマラソンの長距離3種目に出場。今年も10000mとハーフマラソンに出場するなど、常識破りのタフな連戦を続けている。 レース後、研究と走りの関連について聞かれた古川は「速くなりたいから研究している、というのは正直あまりなくて。競技をしてくる上で起きてくる疑問や、不思議だと思うことや面白いなと思うことがあって、そこから研究の力が湧いてくるんです」と、自分の走りを進化させる目的で研究しているわけではないと答える。 だがこうも言う。「研究をしていると、競技に大きく生きてくるなと感じる部分はあります。例えば走る時に、どのポジション取りがベターなのか、というのは研究からざっくりわかってくるので、そこを少し意識することもあります」 走る時は極力無になりながら、ふとした時に感覚的なところを大事にしつつ、少し科学を取り入れつつ。そうやって古川はこれまで走ってきた。