定年退職後も働きたいです。再雇用で「嘱託社員」として働く場合、「契約社員」とはどう違うのか具体的に知りたいです。
60歳で定年を迎えても、まだ働きたいという人は多いようです。定年後の働き方はいくつかありますが、代表的なものは嘱託社員と契約社員です。 では、嘱託社員と契約社員は何が違うのでしょうか。本記事で、それぞれの働き方を詳しく見てみましょう。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
定年後の就労の実態
最近では「人生100年時代」ともいわれるようになり、60歳で定年を迎えたあとも多くの人が働こうとしています。 実際に株式会社カケハシスカイソリューションズが実施した「定年後の仕事とお金に関する調査」(調査時期:2023年2月、調査対象:定年後の60代の男女1100人)によると、60~64歳では78%の人が働いており、そのうち51%の人が「継続雇用制度」により就労中でした。このことから、平成25年に施行された「高年齢者雇用確保措置」の認知されていることが分かります。 継続雇用制度とは、定年後も同じ会社で継続雇用してもらえるという制度です。この制度のなかに、嘱託社員という働き方があります。定年後も働きたいと思っても、再就職が難しい場合もありますが、嘱託社員や契約社員として働ければ安定した収入が得られます。 では次に、嘱託社員と契約社員の違いを見てみましょう。 ■嘱託社員とは 嘱託社員は、厚生労働省によると「定年退職者等一定期間再雇用する目的で契約し雇用する者」と定義づけられています。嘱託社員は、有期雇用契約を結んだ非正規雇用の社員で、業務内容や裁量権が限定されています。定年前はそれなりの役職に就いていた人でも、嘱託社員になると、それまでのような裁量権はありません。 また、勤務日数や労働時間が正社員より短い場合もあります。そのため、給料は定年退職前と比べると少なくなります。さらに、有期雇用となるケースが多く、ずっと働けるわけではありません。嘱託社員の有期雇用契約の期間は、原則として3年が上限(労働基準法第14条)となっていますが、専門的な知識や技術が必要な分野では最長5年まで勤められます。 ■契約社員とは 契約社員は、厚生労働省によると「特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者」と定義づけられています。契約社員も、契約期間の定めがある有期雇用契約であり、この点では嘱託社員と変わりません。 しかし、嘱託社員は定年後に再雇用される形が多いのに対して、契約社員は再雇用とはかぎらず、定年まで勤めた会社とは別の会社に再就職するケースもあります。実際に60歳以下でも、契約社員として働いている人は多くいます。 なお、嘱託社員は正社員と比べて出勤日数や労働時間が短く、契約社員は正社員とほとんど変わらないケースが多いです。