【最高税率50%】最も重いペナルティ「重加算税」の対象になる…“ただの申告ミス”ならやってはいけない「税務調査での対応」【税理士が解説】
重加算税の対象となるのは「隠蔽・仮装」がある場合
国税通則法第68条によると、重加算税について「納税者がその国税の課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき事実の全部または一部を隠蔽し、または仮装し、その隠蔽しまたは仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは重加算税を課する」と記されています。 そのため、隠蔽や仮装がない限りは重加算税が課されません。 ■隠蔽・仮装とは? 重加算税の賦課対象となる項目の重要な部分に「仮装・隠蔽行為」がありますが、これは簡単にいうと故意にあるものを隠したり、ないものをでっち上げたりする行為を指します。 隠蔽・仮装の具体例は【図表】の通りです。 このように、明らかに不正だと疑われる行為をしていた場合は重加算税の対象となり、重大ペナルティとなるのです。 ■隠蔽・仮装について「故意」の立証は必要? 課税庁は重加算税の賦課決定処分を行うにあたり、「客観的な隠蔽・仮装の事実」があれば、「故意の立証」は必要ないとされています。 つまり、税務調査官が客観的に不正と評価できる行為があった場合、重加算税を課税できるという認識です。 ですが、過去の判例を見ると不正を行う「故意」を証明できなければ取消しされる場合もあり、故意か過失かによって重加算税の課税要件を満たすかどうか決まるため、「隠蔽や仮装の故意」を立証できるかが重要なポイントとなっています。 また、賦課は行政処分を伴うものであるため、調査官側にその立証の責任があるとされています。 ■故意の証拠がなく、重加算税を取消しされたケースも ある飲食店の経営者の修正申告に関する重加算税の決定処分に対して、隠蔽・仮装行為がなされたことを示す証拠がないため、隠蔽・仮装があったとは認められないと判断され、重加算税の賦課決定処分が取消されたという事例があります。 つまり、税務署が重加算税とした場合でも、それが「故意」であると立証できなければ、処分されない可能性があるのです。 ただし、その判断は非常に難しく、帳簿や書類の記載内容以外に税務調査での調査官への回答など総合的に「故意」であると判断されるため、意図的なものがないにせよ、調査官へ対応には十分注意しなければなりません。