年収1,000万円バリキャリ妻と年収240万円自営業夫、50代で念願のマイホームを7,000万円で購入。ゆとりのローン計画だったはずが…2年後、赤字転落で涙の売却へ。発端は妻を襲った「突然の異変」
原因は「女性特有の病気」…症状悪化で一気に赤字家計へ転落
何科を受診したら良いか迷いつつ、動悸で循環器内科、耳鳴りで耳鼻科、咽頭部の痛みで甲状腺科と渡り歩き、各科で処方された薬を服用するも症状は一向に良くなりません。 そんな様子を見かねた健一さんの助言で更年期外来を受診、ようやく更年期による不定愁訴だと診断されたのです。 もちろん女性にとって更年期障害が身近な病気だという認識はありました。しかし、周囲の友人たちが悩む中で、美咲さんはそれまでほとんど症状を意識せずに暮らしてきました。そのため50代に入ってこんな強い症状に悩まされるとは思っていなかったのです。 とはいえ、原因がわかり一安心。幸いなことに漢方薬の治療により症状も改善し、元の暮らしに戻れると思っていました。 ところが、難局は続きます。相談に乗ってくれていた直属の女性上司がヘッドハンティングされて退職。後任として着任した上司は、パワハラ寸前と評判の男性でした。 長時間労働やストレスにより症状が再び悪化し、有給休暇や病欠を繰り返すようになります。そんな美咲さんを上司は、「できない更年期おばさん」と揶揄し、ついには不本意な異動を命じられることに。 一家の大黒柱として責任感の強い美咲さんでしたが、判断能力も鈍り、このままでは精神的に参ってしまうと最終的には休職を決断します。 休職中に傷病手当金を受け取ることができましたが、収入は年収500万円レベルに半減し、ローン返済比率は危険水域の32%へ跳ね上がりました。教育費やマンション管理費なども重なり、家計は赤字に転落してしまいました。
日本社会における更年期離職問題の実態
美咲さんのようなケースは決して珍しくありません。2024年12月にパーソル総合研究所が発表した『更年期の仕事と健康に関する定量調査』では、40~50代の正規雇用で働く女性が抱える健康問題の一つ「更年期症状」が仕事に与える影響や有効な施策を示しました。 この調査によれば、女性の場合、全体40~50代の44.5%が軽度レベル以上の更年期症状を抱えており、最も症状の重い「要長期治療」に該当する人は8%にのぼります。また、軽度レベルでも1日あたり4時間弱、要長期治療レベルでは5時間強も仕事への影響が出て、症状がある時の生産性は平均で50%ほど低下するという調査結果も示されました。 また、NHKが行った「更年期と仕事に関する調査2021」では、更年期症状で仕事を辞めざるをえない、いわば「更年期離職」を経験した人の数は、今の40~50代女性でおよそ46万人。離職による経済損失は年間4,200億円にも上ります。 こうした背景には、日本社会全体で更年期障害への理解不足や支援体制の不備があります。美咲さんの上司のように「更年期なんて大したことない病気だ」という先入観が強い人もいますが、実際には働けなくなるほどの影響が出る人も少なくないのです。こうした状況に対応する制度や職場環境づくりが急務といえるでしょう。
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