米女子ツアー最終予選通過者はこれで万々歳ではない 1年目に待ち受ける長距離移動、食事の苦労、酷暑(羽川豊)
【羽川豊の視点 Weekly Watch】 米アラバマ州で行われている来季の米女子ツアー出場権を争う最終予選会(Qシリーズ)の最終日は岩井姉妹、山下美夢有、吉田優利らが上位にいますが、悪天候で中断。翌日(現地10日)に延期された。降雨や寒さの中、5日間90ホールの戦いは厳しく、最終日に進出できる65位タイに1打届かなかった原英莉花は、「Qシリーズは受けたくない」と語り、来季は米下部ツアーからの昇格を目指すと明言しました。Qシリーズからツアーメンバーになっても出場できる試合は限られ、5月には1回目のリシャッフル(出場優先順位の見直し)もあります。 ❤SEXYすぎるっ!!!❤ 原英莉花、胸元パックリの純白衣装で前かがみ!!! 一方、国内で行われた日米ツアー共催のTOTOジャパンクラシックに勝った竹田麗央は規定が変わったことで、来季から2年シードが約束されています。米国を目指す者にとってTOTOの優勝価値はこれまで以上に大きくなりました。 女子の国内ツアーは今季37試合。「試合に出続ければ賞金は稼げても、刺激が低下するのではないか」というのが私の印象です。23歳の山下はプロに転向して4年。岩井姉妹は22歳で、プロ入りしてまだ3年半です。彼女たちは国内ツアーで勝ち星を重ね、海外メジャーにも複数回出場している。先輩たちは海外で毎週のように優勝を争っているし、笹生優花や古江彩佳は全米女子オープンとエビアンを制しました。 メジャー大会の華やかな雰囲気やコースの難しさは経験した者にしかわからず、世界最高峰のツアーで揉まれている選手の集中力や技術の高さも肌で感じることができます。その「わくわく感」は大いなる刺激となり、「私もメジャーで勝ちたい。世界で戦ってみたい」と駆り立てるのでしょう。 その米女子ツアーは来季、創設75年を迎えます。今季同様、全35試合が組まれ、賞金総額は1億3100万ドル(約200億円)。大会賞金は過去4年間で6200万ドル(約93億円)以上のアップです。高額賞金は魅力ですし、移動の航空券や現地のホテル代を負担してくれる大会も増えました。 しかし、男子のPGAツアーのように莫大な放映権は入らず、女子ツアー自体の財力は潤沢ではありません。世界各地を転戦するのは、資金力のある有名な企業に大会スポンサーになってもらうことが大きいのですが、その分、長距離移動や食事面での苦労が多く、体調管理が難しいという側面は否めず、近年の酷暑がそれに拍車をかけています。 今季、米女子ツアーで新人賞を獲得した西郷真央が出場したのは29試合。最優秀選手に選ばれたN・コルダは毎年20試合未満です。体調管理のためには、欠場試合もつくらなければなりませんが、Qシリーズ通過組の1年目にそんな余裕はないでしょう。それでも古江は1年目の2022年に初優勝をあげた。夢を抱く者に「不可能」はありません。 (羽川豊/プロゴルファー)