「カッコよさ」だけでアイアン買うのは危険! 最低限抑えておきたいマッスルバックとキャビティの違いとは?
飛距離性能と方向性に優れたキャビティバック
アイアンヘッドの代表的な形状には「マッスルバック」と「キャビティバック」の2種類がありますが、それぞれどのような特徴があるでしょうか。 【写真20点】ミズノの新作アイアン「MX-I SPEED METAL」と「JPX925」を見比べる
レッスンプロ兼クラフトマンの関浩太郎氏は、以下のように話します。 「両者の違いはフェースの厚みで、厚い方がマッスルバック、反対に薄くした方をキャビティバックと呼びます」 「薄くなればなるほど強い力が加わった時のたわみが増すので、反発係数が上がり飛距離が伸びます。それがキャビティバックの大きな特徴であり、ビギナーやアベレージゴルファーなど幅広い層に親しまれています」 「マッスルバックはフェースの厚みが1センチほどあります。1センチもあれば強い衝撃が加わってもたわむことはほぼなく、飛距離もキャビティバックと比べると出にくいため、上級者やプロ向けとされています」 「しかし、両者ともヘッドの重量は変わらないように作られており、キャビティバックの場合はフェースからくり抜いた分の重量をヘッドの外側に配置しています。これにより慣性モーメントが大きくなってスイートスポットが広がり、ミスショットへの寛容性が高いアイアンになります」 「なので、キャビティバックの方が飛距離性能だけでなく、方向性にも優れたクラブと言えるでしょう」 また、キャビティバックの一種で「ポケットキャビティ」というものもあり、フェースから削り取った重量をソール側に多く配置したタイプを指します。 「フェースとバックフェースの間に、ポケットのような空間ができることからこう呼ばれていますが、通常のキャビティバックよりも芯が広く、ミスヒットへの寛容性がさらに高くなっています」
マッスルバックはコントロール性能に優れている
では、マッスルバックにはどのような良さがあるのでしょうか。関氏は以下のように話します。 「キャビティバックは飛距離や方向性が安定しやすい反面、フェースを薄くしているので人によっては打感が悪いと感じるでしょう。またボール軌道を変化させるのが難しいので『アイアンを操作する楽しさ』が半減してしまう点が、キャビティバックのデメリットだと思います」 「対して、マッスルバックはボール軌道を調整しやすく、コントロール性能に大変優れています。打感も肉厚で気持ちいい音が出るので『打つ楽しさ』を感じたい人は、マッスルバックに軍配が上がるでしょう」 今から20年ほど前まではショートアイアンはマッスルバック、ミドルアイアンはキャビティバック、そしてロングアイアンはポケットキャビティと3種類すべてが入った「混合アイアン」というセットが販売されていました。 ショートアイアンは操作性を重視し、番手が上がるごとに方向性やミート率が低下してくるのでやさしさを上げていくというものでした。しかし、同じアイアンセットの中で打感や操作性がバラバラだとかえって打ちにくくなることが指摘され、現在ではほとんど見かけなくなったそうです。 初めてアイアンセットを購入しようとしている人や、買い替えを考えている人は、自分のスキルや重視したい要素を考慮して選ぶと良いでしょう。
ピーコックブルー