「石丸新党」の都議選挑戦は“消去法”の選択か…戦況を占うポイントは“候補者の顔ぶれ”と“カリスマ性の維持”
石橋を叩いた石丸氏
「大前提として石丸さんが自民党や立憲民主党など、既存政党の公認候補となる選択肢はあり得ません。石丸さんを応援する有権者層は既存政党に不信感を抱いており、だからこそ石丸さんを支持しているからです。知事や市長など首長選に立候補しても話題にはなるでしょうが、石丸さんは『日本を変える』という考えを常に表明しています。地方自治体のトップに就任したとしても“孤軍奮闘”では変革が難しい。共に改革を進める仲間が必要だと考えるのは当然でしょう」(井上氏) キーワードは「消去法」という井上氏の指摘に従って、それぞれの可能性を検討してみよう。例えば新党を結成するにしても、国政に打って出る選択肢はなかったのだろうか。来年2025年7月28日には参議院議員の半分が任期満了を迎えるため、6月から7月までの間に参院選が行われる予定だ。 2019年7月の参院選ではれいわ新選組、22年7月の参院選では参政党が当選者を出し、今では衆議院でも議席を確保している。成功した前例はあるのだ。 「石丸さんは石橋を叩き、消去法の選択を優先したのだと思います。国政新党となると、たとえ少数精鋭の候補者で挑戦したとしても、やはり全国の有権者に訴えかける必要があります。資金も労力も膨大なコストが必要なのは明らかです」(同・井上氏)
都議選惨敗の可能性
石丸氏が国政新党に全力を投入したとしても、どれだけの支持を得られるかは誰にも分からない。 「国政新党で確実に当選者を出せるかどうかは未知数なのです。一方、石丸さんは都知事選で都民の有権者に鮮烈な印象を残しました。顔と名前は確実に覚えてもらいましたから、東京都に地盤と看板を確保したようなものです。新党で都議選に挑戦すれば高いコストパフォーマンスが期待できます」(同・井上氏) ただし、石丸氏に期待する声が強いのは当たり前にしても、新党の候補者が自動的に支持を得られるとは限らない。そもそも地域政党に落胆させられる理由の一つに、候補者の顔ぶれが指摘できる。候補者の公募に応じた人々の顔ぶれを報道で知り、げんなりした経験のある有権者は少なくないだろう。 「国民の政治不信は根強く、今や政治の世界に飛び込もうとする人は相当の変わり者です。率直に言って、現在の政治状況で本気で政治家になろうとする人は、『東大を筆頭に高学歴だが、人の心が全く分からないエリート層』か『売れない芸能人や著名人』くらいでしょう。いくら石丸氏が時の人でも、『候補者を募集します』と呼びかけたら、多くの埋もれていた俊英が我も我もと応募する、ということはあり得ません。都議選に出馬する石丸新党の顔ぶれを見て有権者が落胆する可能性はありますし、実際のところ、新党が都議選で惨敗しても全く不思議ではないと思っています」(同・井上氏)