最大の不安は「引退後の仕事」。大学生になった金メダリスト髙木菜那がリスキリングで描く「まだ見えない」夢の先
アスリートはもっと外の人と出会ってほしい
大学生になった金メダリストには、新しい発見もあった。 「大学に行った理由は、いろいろな人とつながれるし、新しい出会いがあるからいいよって。スポーツ界には大学教授とか、いろんな分野の専門家がいるから、つながっておくと仕事が増えるかもしれない。そう、教えてくださった方がいたからです。実際に行ってみると、競技でやってきたことが、研究ではそう論じられてるんだと思ったこともある。それを講演で話したり、心と体の健康の話に混ぜたり、活用はさまざまなシーンでできると考えています。今はいろいろな可能性を広げているところですね」 自分がそうだったように狭い世界にとどまらず、アスリートには外での出会いを大切にしてほしい。明確に未来が見えなくても、まず突き進めば視野は広がっていくはずだと、髙木は考えている。 「特にアスリートにはもっともっと外の人と出会ってほしいのも一つですね。私は何人か助けてくれる人たちがいたから、本当にありがたかった。出会いって自分で動かないとできないし、動けない人は本当にどんどんなくなっていくものでもある。だから、世界を広げてほしい気持ちがあります。割と外にはアスリートを歓迎してくれる人も多いので、その機会を作ってあげたいなと、今は思っています」 現役時代に叶えた、金メダルの夢。しかし、その先にも必ず人生はある。今、髙木は夢の先の人生を、手探りながらも生きようとしている。 <了>
文=守本和宏