最大の不安は「引退後の仕事」。大学生になった金メダリスト髙木菜那がリスキリングで描く「まだ見えない」夢の先
「最初から『お疲れ様です』じゃいけないのも知らなかった」
現役アスリートにとって何が不安か。アンケート(※)をとったところ、「引退後の仕事」という回答が69%で最も高かったそうだ。女性なら72%と、さらに数値は上がる。 その背景もあって、世界的コンサルティング会社「アクセンチュア株式会社」と、高校生や大学生など現役アスリートなどにキャリア教育を行うNPO法人「Shape the Dream」が協業し、アスリートとその関係者向けにセカンドキャリアの道すじを立てるイベントを行った。タイトルは「リスキリング&ネクストキャリアfor Athlete」。そこに特別アンバサダーとして、髙木菜那は参加した。 イベントはスキル診断から始まり、診断に基づいたセカンドキャリアを生成AIに相談するなど、「テクノロジーと人間の創意工夫でまだ見ぬ未来を創造する」ことをパーパスとして掲げるアクセンチュアの理念に基づいた内容だ。自分の特性に応じて10~15個の職業を推薦するなど、なかなかに未来的な取り組みでもある。 アンバサダーの髙木はリスキリングの重要性について、熱を込めて語る。 「私も、引退して仕事しますってなった時に、誰かと連絡を取るにもメールの仕方がわからない。『お世話になっております』とか、下につける署名も様々。最初から『お疲れ様です』だと、いけないことも知らない。そういう人、やっぱり多いんですよね。名刺交換とか、基本を知る必要がある。ただ、それは引退してからでもできること。パワーポイント、エクセルの使い方も、引退後に学べばできる。であれば、現役時代から自分を深掘りしたり、固定概念を変えたりできれば、可能性もより広がると思うんです」 現役時代から引退後にかけて、自分がどんな技術を学び働いていくか、考える機会を持ってほしい。それを伝えたいというのが、彼女の意図だ。ただ、一流を極めたアスリートだからこその葛藤、セカンドキャリアに踏み出しにくい理由を、彼女はわかりやすい言葉で話してくれた。 (※)NPO法人Shape the Dreamが独自に40競技、男女大学生アスリート1200人に調査した結果