AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ、2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘
トラックを確保できなければ次の会社、また次の会社へと電話し、結局、付き合いの薄い業者から「通常より高い運賃なら受ける」と言われてしまうこともある。 この点、トランコムは1万3000のパートナー運送会社を抱える。現在、国内の運送事業者数は約6万3000社で、5社に1社はトランコムと提携している。着実にトラックを押さえられるのは強みだ。結果的に運賃を安く抑えられるケースもある。 ■「混載」「におい」にも配慮
運送会社も同様だ。業界は営業拠点を持たない小規模事業者が多い。トランコムは全国51のセンターに約600人のアジャスターがいる。どの方面へ運行しても、帰りの荷物を確保してもらえることがメリットになる。 マッチングの中には、より高度な配車や提案を求められる場面もある。そのひとつは1台のトラックに複数の荷主の荷物を積む「混載」だ。スペースを確保できるか。荷下ろし時間を守れるか。後に下ろす荷物は何時まで待ってもらえるかなど入念に確認する。においが移る荷物の組み合わせを避けるなど、人力ならではの配慮も必要だ。
アジャスター歴13年、名古屋情報センターで西日本セクションのチーフを務める蟹江佑香理氏は、視野を広げてマッチングにあたるよう普段から指示を出す。情報はつねにチームで共有しており、マッチングが滞っている案件があれば、即座にチェックする。 西日本セクションは中国、四国、九州と3つのエリアに分かれている。山口に荷物があるが、条件に合った空車がない状態もありうる。そんなときは山口ばかり探すのでなく、広島や九州などほかのエリアから配車の可能性を探るなど、広い視点が必要だ。別の情報センターと連携してトラックを探すこともある。
多くのトラックは午前中に荷物を届け、午後に荷物を積み込むサイクルで運行している。僻地や荷主の都合で午後指定の荷物があると、アジャスターもパートナー運送会社へ依頼するか悩んでしまうケースがあるという。 ■配送方法はいくつもある 蟹江チーフはこうした例を見つけると「午前中に積み替えて、下ろし先に届けられる車両を探すなど、別の方法を探そう」などとアドバイスをする。答えは一つではない。工程を切り離して考える柔軟な発想も必要だ。