「LVMHプライズ」セミファイナリストに選出されたフィダン・ノブルゾバ、海外セレブに人気のイットシューズを生み出したその魅力に迫る
2014年に彗星の如く登場した「ヴェトモン(VETMENTS)」によって、設立者兼デザイナーのデムナ(Demna)の出身地である東欧の小国ジョージアがファッション界から注目を集めた。彼は同ブランドのデザイナーを退いたのち、バレンシアガのクリエイティブ・ディレクターに専念している。 その後「ヴェトモン」に続くジョージア出身のブランドが続々と登場したが、ファッション未開拓の地である新興国としては、今新たにモルドバが話題に上がっている。 ローカル向けのファッションの祭典だった、モルドバの首都キシナウで年に2回開催される「モルドバン・ブランズ・ランウェイ」には、この1年で東欧を中心としてヨーロッパ各国からのインターナショナルゲストも訪れるようになった。 そんなモルドバのファッションシーンを盛り上げ、国を代表するデザイナーへと成長しているのが、若手の登竜門として知られる国際的なコンペティション「LVMH PRIZE 2024」のセミファイナリストに選出された、フィダン・ノブルゾバ(Fidan Novruzova)である。 キシナウで生まれ育った彼女は、イギリスの美術大学セントラル・セント・マーチンズでウィメンズウエアデザインを学び、「バーバリー(BURBERRY)」でのインターンを経て、地元に戻り自身の名を冠したブランドを立ち上げた。 彼女の名が一気に世界へと広まったのは、ブランド設立前、大学の卒業コレクションとして発表した、伝統的なクラフトマンシップの精神を超現代的なデザインに落とし込んだ“Havva”ブーツだった。
ワイドなボディに角ばったスクエアトゥのロックテイストなブーツは、Z世代の女性から人気のスーパーモデル、ベラ・ハディッドが着用したことで人気に火がつき、自社ECとカナダ発EC「エッセンス(SSENSE)」で注文が殺到するほどのイットシューズに躍りでた。 未だファッション界にはモルドバ出身の大物デザイナーが不在であるだけに、母国の伝統と現代的な洋服を掛け合わせたフィダンが築く独特の世界観は、異国情緒を漂わせ、ユニークなスタイルとして多くの人を惹きつけている。 モルドバのファッションの未来の一翼を担うフィダン。キシナウ現地で出会った彼女に、デザインプロセスや設立4年の歩みについて聞いた。