「LVMHプライズ」セミファイナリストに選出されたフィダン・ノブルゾバ、海外セレブに人気のイットシューズを生み出したその魅力に迫る
インスピレーションは、旧ソビエト連邦崩壊後の建築物から
ーまずは、ブランドの設立に至った動機について教えてください。 自己表現への欲求が最初の主な動機だったと思います。ファッションに興味を持ったのは、2010年代のスーパーモデルたちの装いやスタイルに惹かれたことがきっかけでした。生まれ育ったキシナウは、最先端の雑誌が容易に手に入る環境ではなかったので、その代わりにインターネットで検索したセレブリティの着こなしに夢中になったのです。 ー「Fidan Novruzova」のコンセプトを教えてもらえますか? ブランドコンセプトには、“モダンノスタルジアの概念を再定義する”ことを掲げています。 デザインの基盤は、見慣れたものと奇妙なものの組み合わせ。親しみを感じる見慣れたアイテムのなかに、予想外のテイストをミックスさせることで、フェミニンで自己主張のある独特のレトロフューチャーな世界観を発展させています。
ー今シーズンは1980~90年代ですが、シーズンによって異なる時代の装いにインスピレーションを得ているようですね。コレクション制作において、服飾史は重要な要素ですか? また、そのデザインプロセスとは? 私のデザインプロセスには、さまざまな要素が少しずつ含まれています。潜在意識からのインスピレーションは、私が生まれ育ち、現在も住むモルドバの首都キシナウの日常風景、特に旧ソビエト連邦崩壊後の建築物から湧いてくることが多くあります。 ファッションに関しては、ニコラ・ジェスキエール時代の「バレンシアガ」、1980年代後半の「ヨウジ ヤマモト」、1980~90年代のアズディン・アライアが大好きで、インスピレーションを与えてくれる存在です。
ベラ・ハディッドの着用で人気に火がつく
ーブランドにとってのブレイクスルーはいつでしたか? やはり、2020年にベラ・ハディッドが“Havva”ブーツを着用してくれたことだと思います。このシューズを履いた彼女はとてもゴージャスで、オンライン上で大きな話題になりました。 ーシグネチャーとなっている“Havva”ブーツ、どのようにデザインして生まれた作品ですか? ソビエト崩壊直後の初期のメンズシューズがテーマと言えます。その時代の着こなしや履いていたシューズがヒントになっていますね。