日本の職場が「縦割り」「分断」から全然変わらない4つの深い理由 なぜ20年経っても変わらない⋯?
「その工場内にはいくつもの建屋があるが、ほかの建屋に入ることもまれだ」 「隣に座っている営業マンがいま何をしているのかよく知らない」 物理的に同じ空間にいるだけで、そこには何の「つながり」も生まれていない。それぞれが「半径5m」というきわめて狭い世界に埋没しているのである。 【理由④】リモートワークで「人の分断」が生じている コロナ禍で増えはじめたリモートワークでは「人の分断」を招きやすい。 たとえば、新入社員などは就職活動の面接から入社後研修に至るまで、ほぼすべてがオンラインで実施。配属後の慣れない仕事も最初からリモートワークであり、気軽に上司や先輩に相談できない。
リクルートキャリアコンサルティングが行ったテレワーク実施前後のモチベーション変化に関する調査によると、テレワーク下でチームでの仕事が減った人に限ると、「モチベーションが低い」とする回答が28.4%だった。これは実施前の13.9%と比べると2倍以上になっている。 便利だからといって、リモートワークやオンライン一辺倒になってしまっては、「人の分断」が生まれやすく、「社員のモチベーション低下」も招いてしまうおそれがある。
では、「分断」「縦割り」な職場を「つなげる」ことの意味はどこにあるのだろうか。 それは、現場同士の「交流」(interaction)が生まれることで情報が「交流」し、知恵が「交流」することである。 現場力は「実践知」を生み出す活動である。 それぞれの現場が単独で努力するだけでなく、現場同士がネットワークを組み、みんなで知恵を分かち合うことが、これまで以上に重要となっている。 組織は「縦社会」のように「縦の力」がきわめて強い。しかし、縦糸と横糸が組み合わさってはじめて織物がつくられるように、縦と横が重なり合うことで強い組織はつくられる。
「横串」「横展開」という「横の意識」を高めることが、いまこそ求められている。 ■「3つのつながり」で現場力はどんどん高まる とはいえ、放っておいても現場同士は勝手にはつながらない。「交流」を創造するための仕組みや仕掛けを講じる必要がある。 そのためには、まず「人の交流」を生み出すのが先決である。 たとえば、現場のリーダークラスがお互いの現場を訪ねるなど、「非日常」を経験させることが大事だ。 人がつながれば、そこから「情報の交流」「知恵の交流」が生まれてくる。
現場同士をつなげ、有機的な関係性やネットワークを構築することによって、現場同士が相互に刺激し合い、協力し合い、現場力は間違いなく高まっていく。 「分断」「縦割り」をなくし、「人」「情報」「知恵」を交流させることが、これからの「新しい現場力」へとつながっていく。
遠藤 功 :シナ・コーポレーション代表取締役