日本の職場が「縦割り」「分断」から全然変わらない4つの深い理由 なぜ20年経っても変わらない⋯?
企業が成長し、関わる従業員が増えてくると、当然のことながら、組織は肥大化し、専門化、機能分化していく。部門や個人の仕事はより明確に分けられ、ほかとの「境界線」がはっきり規定される。 拠点も地理的に分散し、コミュニケーションは形式的になり、人間同士の「触れ合い」はどんどん薄くなる。 「ひとつの会社」でありながら、一体感は希薄になり、「見えない境界線」が生まれる。この「見えない境界線」が「分断」につながるのだ。
■20年前から「つながる力」は高まっていない 【理由②】職場で「タコツボ化」が蔓延している 仕事はつながってこそ価値を生むにもかかわらず、「自分、自部門の業務しか知らない」「他部門の業務は無視し関心がない」といったことが現場に蔓延すると、その現場には「タコツボ」が至るところにできてしまう。 タコツボ化すると、「自分さえよければいい」ということから、連鎖の視点が欠如する。その結果、組織としての全体最適は追求されずに、部分最適の集合体に陥ってしまう。
タコツボ化は「縦割り」意識が強いので、「前工程は後工程を意識しない」「後工程も前工程の業務品質に問題があっても文句を言わない」といった「分断」が現場を支配してしまう。 20年前に出版した『現場力を鍛える』でも、「タコツボ」をぶち壊すことの重要性や自律的組織のネットワーク化について言及している。 しかし、20年後の現実を見れば、現場の「つながる力」は決して高まっているとは言えない。 【理由③】職場が「半径5m」に埋没している
現場は、企業活動における「価値を生み出す主体」である。そのミッションを遂行するためは、わき目も振らずに目の前のことに没頭し、懸命に「いま・ここ」を生きることが求められる。 放っておけば、現場は目の前のことにしか関心を持たないし、「その日暮らし」に陥る。 つまり、現場は「半径5m」の中だけで生きているのだ。 ■「半径5m」という狭い世界に埋没している現実 実際の職場では、以下のような話があった。 「工場内のほかの製造現場を見学したことがない」