「認知症」の初期症状はご存じですか? 原因や受診の目安も医師が解説!
アルツハイマー型認知症以外の認知症では、どのような症状がみられるのか?
編集部: そのほかのタイプの認知症では、どのような症状がみられるのですか? 藤田先生: アルツハイマー型認知症の次に多いのは、「血管性認知症」です。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって引き起こされる認知症で、アルツハイマー型認知症と同様の症状を示します。突然、症状が表れたり急に悪化したりと、症状の出現が激しいという特徴があります。さらに、歩行障害、手足の麻痺、抑うつなどの症状がみられることがあります。 編集部: そのほかは? 藤田先生: レビー小体型認知症は、脳に「αシヌクレイン」というタンパク質がたまることで発症すると考えられています。「実際には見えないはずのものが見える(幻視)」といった症状が出たり、転びやすくなったり歩きにくくなったりするなど、パーキンソン様症状が起きることもあります。また、前頭側頭型認知症は「信号無視や万引きを繰り返す」「失礼な発言をする」「暴力的になる」など、人格や行動が社会性を失うという特徴があります。 編集部: それぞれのタイプによって症状が異なるのですね。 藤田先生: タイプによって発症する年代も異なりますし、進行のスピードも違います。しかし、ひとたび発症すると完治させることは難しく、治療は「症状の進行をいかにして遅らせるか」ということに焦点が当てられます。そのため、「認知症かもしれない」と思ったら、早めに受診することが大切です。 編集部: 最近では新しい治療薬も保険適用になりましたよね。 藤田先生: はい。2023年12月から日本の製薬会社エーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発した「レカネマブ」が保険適用となり、患者への使用が始まっています。ただし、アルツハイマー型認知症に対する治療薬です。それ以外の認知症患者やアルツハイマー型認知症の患者でも進行している場合には、適応外となることもあります。認知症の治療薬はほかにもあり、認知症のタイプを正確に見極めてから、患者に適した薬剤を選択していきます。