<センバツ>亡き兄を思い甲子園の空を見上げ 七回に好捕 日章学園・平野大和選手
◇第91回選抜高校野球 ○習志野8-2日章学園●(24日・甲子園) センバツ第2日の24日、初戦に挑んだ日章学園(宮崎)の4番で中堅手の平野大和(やまと)選手(3年)は試合前、亡き兄を思い甲子園の空を見上げた。野球を教えてくれた兄にいい報告をしたいと奮起し、チームの主砲に成長した。習志野(千葉)に2―8と敗れたが「兄ちゃんに『夏もう一回頑張れ』って言われてる気がする」と涙は見せなかった。 【習志野vs日章学園 熱戦の模様】 平野選手は小学2年の時、兄恵大(けいた)さんと同じ地域のクラブチームに入り、軟式野球を始めた。「兄ちゃんに早く追いつきたい」。兄とキャッチボールをしたり、試合でバッテリーを組んだりして兄弟で汗を流してきた。 恵大さんとの別れは中学3年の時、突然だった。高校2年だった恵大さん(当時17歳)が不慮の事故で入院4日後に亡くなった。寂しさに襲われ、練習にも身が入らなかった。 「兄ちゃんの分まで野球を続けよう」。自宅居間にある恵大さんの遺影に試合を報告することが日課になっていった。「今日の試合見てた?」「下半身を鍛えたから打球が伸びたよ」。いい報告がしたいと練習に打ち込んだ。遺影の前には、平野選手が高校に入って打ったホームランボールが18個並んでいる。 この日は内野安打1本に終わり「雰囲気にのまれてしまった」と唇をかむ。七回表は右中間に抜けそうな打球を好捕して習志野の追加点を阻んだが、夢心地のまま時間が過ぎていった。「夏こそホームランを打って兄ちゃんに報告したい」。そう誓って甲子園を後にした。【田崎春菜】