西村拓真が海外再挑戦で掴んだ経験。「もう少し賢く自分らしさを出せればよかった」
西村が真剣に“逆取材”をしてきた一幕
西村は加入後の公式戦5試合で4ゴールをあげるなど、上々の滑り出しをみせる。ただ3月中旬からチームが公式戦6試合連続未勝利と調子を崩したことも影響し、ゴールから遠ざかっていく。 「根本的に自分の実力をもっと高めていかなくちゃいけないなと思います。今苦しい時期ですけど、ここからどう自分がレベルアップできるか。ロシアで経験したところもありますし、その経験を生かして、次に向けていきたいです」 バーゼル戦後にそう語っていた西村だが、チーム事情から監督が西村に求める役割と西村自身が得意とするプレーとの間でギャップが生まれてしまう。今季スイスリーグ17試合で10ゴール3アシストをマークしていたクリス・ベディアが冬の移籍でブンデスリーガのウニオン・ベルリンへと移籍していたことで、ファンも首脳陣もチームを勝利に導くゴールを決めてくれる選手を熱望していた。そのような事情で西村にもベディアのようなプレーを求めていたのかもしれない。だがそれが、ダイナミックなプレーが特長な西村の動きに迷いを生じさせてしまう。プレーオフ5戦目の首位ヤングボーイズとの一戦だった。 「監督からは動きすぎずゴール前にいてくれとずっと言われているので、そこを意識していました」 そう試合を振り返る西村だが、ヤングボーイズのセンターバックコンビはどちらも長身でマンマークにも強い。ゴール前にいようとしてもそもそもボールが出てこないし、不利な体勢でパスを送られても苦しいプレーになってしまう。スタメン出場だったが、得点チャンスに絡むことなく58分に途中交代。 「もう少し賢く自分らしさを出せればよかったかなと思います。素直に戦っちゃっていた部分があった」 そう反省の弁を口にしていた西村の話を聞きながら、元日本代表FW岡崎慎司が話していたことを思い出した。「監督の指示を考えすぎちゃうと直感的な動きはできない」と。そのことを伝えると、西村が真剣に“逆取材”をしてきた。 「考えながらやってますけど、本当におっしゃる通り、考えているときは一個動きが遅れるシーンも多い。考えすぎてないときのほうが体は自然と動いてる。他にも何か岡崎さんは気になることを話されてましたか?」