品数多くても栄養不足に?管理栄養士が教える、健康長寿のための食事とは。砂糖は白より黒、みそは長期熟成タイプを
食事の品数は豊富でも、体に必要な栄養素が摂れていない人は思いのほか多い、と話すのは管理栄養士の関口絢子さん。健康長寿の分かれ道となる、食事のコツを紹介します(構成=山田真理) * * * * * * * ◆毎食同じ作り置きが並ぶ食卓 私は管理栄養士、料理研究家として、腸内環境や血流の改善、アンチエイジングなど、健康効果が期待できるレシピをユーチューブで紹介しています。 私たちの体は食べたもので作られているため、食材の選び方や食べる順番によって老化を加速させてしまうことも、ゆるやかにすることもできる。「食」は、長い人生を若々しく過ごしていくためのカギなのです。 ところが、ある食品会社が行った食生活調査で気になる結果が出ました。内容は、幅広い年代の人に朝昼晩3食を3日分、写真に撮ってもらうというもの。 その中でシニア世代の食卓を見てみると、品数は多いのに、毎食同じ作り置きのキンピラや漬物などが並んでいる。また、肉類などのタンパク質が少ない、使っている野菜の種類が限られているなど、「ちゃんと食べているようで、実は栄養が偏っている人」が多くいらっしゃったのです。 心身を健康に、若々しく保つには、約50種類ある必須栄養素をバランスよく摂らなければいけません。調査結果のような食事を続けると、一部の栄養素ばかりを摂取することになるため、臓器の働きや新陳代謝などがうまく行われず、老化を加速させる原因になるのです。 とはいえ年を重ねると、日々の食事作りを面倒に感じたり、食が細くなったり。夫婦2人やひとり暮らしだと、食材をいろいろ買っても余らせてしまうといった悩みもよく耳にします。ですから、シニアほど栄養素を効率よく摂っていく工夫が必要なのです。
◆食材の選び方、調理法がカギ さまざまな食材を食べて、バランスよく栄養素を摂取するのが理想ですが、食べられる量には限界がありますし、たくさんの種類を準備するのは大変ですよね。だからこそ、栄養価の高い「老化をゆるやかにする食材」(表)を知って、それを意識して選んでいきましょう。 たとえば砂糖なら、白砂糖ではなくビタミンB群やミネラルが豊富な黒砂糖にする。味噌は、アミノ酸やビタミンが豊富な長期熟成タイプのものに。油も、オレイン酸が多く、酸化しにくいオリーブ油や米油に替えてみる。野菜や魚介類は、栄養価がぐんと高まる旬のものを選ぶといいですね。 また、基礎代謝を促し、体の機能や組織を調整するミネラルも積極的に摂りたい栄養素。野菜なら緑黄色野菜、海産物では牡蠣など貝類に多く含まれています。 しかし、せっかく栄養素が豊富な食材を選んでも、調理法によっては無駄にしてしまうことがあるので要注意です。特に野菜は、以下のことに気をつけましょう。 切ったごぼうやれんこんはアクをとるために水にさらす場合がありますが、そのまま使うこと。変色は防げても、水溶性の栄養素が溶け出してしまうからです。 また、野菜は皮にも栄養素が含まれているので、なるべく皮ごと調理を。ピーマンの種やワタには血流を促したり、精神を安定させるピラジンという栄養素があるため、捨てずに食べましょう。 さらに、緑黄色野菜に多く含まれ、皮膚や粘膜の健康を維持する脂溶性のβ-カロテンは、油を使って調理すると吸収率が高まります。