【チャンピオンズC回顧】レモンポップを連覇に導いた“人馬の絆” 種牡馬としても可能性は無限大
2年連続同一馬による1~3着
2着ウィルソンテソーロも運びは完璧に近く、ゴール前の脚色は完全に王者を凌いでいた。昨年は人気薄、今年は2番人気。この一年の成長を証明できた。 とはいえ、ハナ差だけに勝って引導を渡したかったのが本音。挑戦は惜しくも最高の結果にはならなかったものの、まだ来年がある。東京、ドバイ、大井、ソウル、佐賀、中京と6つの競馬場で積んだ経験はいつか糧となり、結果を呼ぶはずだ。 3着はドゥラエレーデで、昨年と順位も顔ぶれもそっくり同じ。この3頭が強いというか、ほかに目立った馬がいないというかは微妙なところ。だが、ドゥラエレーデ自身には関係ない。現状の力は出し切った。 適度に上がりがかかる中京のようなコースが合う。どんな競馬でも結果を出す馬でもあり、R.ムーア騎手とも手が合う。インを抜けてくる競馬はさすがムーア騎手だった。 3着まですべて前年と同じという結果には、確かに思うところもある。だが、ダートは今や芝以上に選択肢が多い。地方交流に海外と魅力的なレースが無数にある時代になった。 JRAのGⅠは年間2つなので、もちろんメンバーはそれなりにそろうが、選択肢が広がったことで、かつてほどダートトップ戦線勢ぞろいではなくなった。ブリーダーズCに挑戦したフォーエバーヤング、ウシュバテソーロ、デルマソトガケもいる。日本全国、世界各地を転戦するダート界は懐が深く、レモンポップの引退後も目を離せない。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳