部活に「外部指導者」導入で生徒は余計に忙しくなる?
外部指導者は救世主か
外部指導者には2つの役割が期待されている。一つが顧問の負担軽減で、もう一つが生徒への専門的指導である。 教員にとって部活動の指導は、大きな負担となっている。外部指導者がくわわると(ときには教員との人間関係や役割分担がうまくいかずにトラブルになることもあるかもしれないが)、単純に言えば指導の担い手が増えるわけだから、教員の負担軽減につながることが期待される。 外部指導者は、生徒にも恩恵をもたらす。日本体育協会が2014年に実施した調査によると、運動部顧問の約半数はその競技種目の経験がない(『学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書』)。生徒にとってみれば、さすがに素人の顧問に教わるよりは、専門的な技術指導ができる大人に教わったほうがよい。 このように、外部指導者の2つの役割からは、その存在は部活動改革の救世主のようにも見えてくる。
生徒の負担はむしろ増大する?
ただし、ここで気がかりなのは、外部指導者の質保障である。 興味深い調査結果がある。神奈川県教育委員会が2013年に実施した調査(『中学校・高等学校生徒のスポーツ活動に関する調査報告書』)からは、練習量に関して、教員と外部指導者との間に相違が見られる【図1】。 一週間における部活動の指導日数として何日が適当であるかを尋ねた質問の回答をみてみると、「6日以上」と答える者の割合は、教員よりも外部指導者のほうが高い。また、平日一日あたりの適当な活動時間数についても「2時間以上」の活動が適当であると考える者の割合は、教員よりも外部指導者のほうが高い。外部指導者は教員と比べたときに、より長い時間、より多くの日数を部活動に費やすべきと考えている。
全国的に生徒が部活動に関わる日数は、すでに週6日以上が、中高いずれにおいても半数を超えている【図2】。部活動は十分に過酷であるように思われるが、外部指導者の目からすれば、まだまだ足りないということである。外部指導者の導入は、教員の負担軽減にはつながったとしても、その分だけ生徒の負担増を招きかねない。