恩師と共闘する若き指揮官は「丁寧な人」。大津高校・山城朋大監督が「4年目の終わり」と「5年目の始まり」に書き記したい未来予想図 高円宮杯プレミアリーグWEST 東福岡高校×大津高校マッチレビュー
「ちょっともどかしさはありましたけど、崩れているわけではなかったですし、僕も言いたいことは少し抑えながら、彼らが今やれているメンタリティを優先して、時間を進めていった感じですね」。残り15分で1点を返されるも、ピッチの選手たちは必要以上に焦ることなく、時計の針を進めていく。
「『あと1点獲ってゲームを決定づけよう』という想いもあったんですけど、ラスト10分ぐらいからは『もう1点は厳しいかな』と思ったので、失点しないことしか考えていなかったです」(村上慶)「今までの自分たちだったら、失点して慌てて、完全に相手に流れを持っていかれる印象も自分の中にはあったんですけど、今日はそういうこともなく、最後の方は落ち着いてボールを持てたので、ここ数試合で苦しい試合を勝ってきたことが経験になっているのかなと思います」(五嶋夏生)
ファイナルスコアは2-1。これで3試合連続での1点差勝利と、痺れるような戦いが続いている過程で、大津の選手たちは間違いなく自分たちで流れを感じ取り、その状況での最適解を探り当て、遂行していく力を身に付けている。やはりプレミアリーグという年代最高峰のステージで、首位を走り続けているチームの成長度は伊達ではない。
2020年に教員採用試験に合格。学校での立場は非常勤講師から教諭に変わり、サッカー部での立場もコーチから監督へと変わったタイミングで、山城監督は同僚の先生からある“日記”の存在を教えてもらったという。
「その年に大津高校へ赴任された先生から、もう3冊目だという『5年日記』というものを拝見させてもらったんです。僕も選手時代からサッカーノートという形で日記を付けていたんですけど、何年前の何月何日に何があったかというのを5年分一気に見られるというところに魅力を感じたのが書き始めたきっかけですね」
『山城版・5年日記』のスタートは2021年1月1日。この年の高校選手権は県予選で敗れていたため、実家で過ごした1日のことが記されている。「僕が大津高校に赴任した年度から始めたんですけど、1月1日を東京で迎える年もあれば、熊本で実家に帰っている年もあるんです。だから、5年目はまた『熊本で実家に……』とならないようにしたいですね(笑)」
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